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もうすぐ小学生なのに、子供のしゃべり方が幼いとちょっと心配ですよね。今回は、幼児音の対応についてお話をします。
保育士歴20年以上。幼稚園、保育園、こども園など転職して、述べ500人以上の園児を保育し、ママ・パパの相談に答えてきました。両親・祖母が教師・保育士なので、保育士は多分天職です。
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娘はまだ言葉がたどたどしい
娘が小学校に通い始めて少し経ちました。それほど大きく変わったことはないんですが、仕事帰りに息子と娘を合わせて学童に迎えに行けるのはありがたいです。
ただ、まだ娘が小学生になった実感が湧きません。というのも、息子が1年生のときよりも幼いから。
身体つきは小さくないんですが(むしろムチムチしてる)、考え方も行動も幼いのでちょっと心配です。もう1つ娘が幼く感じる理由は、言葉のたどたどしさです。
娘はしゃべり方が舌っ足らずで、「幼児音(ようじおん)」がまだ治らないんです。さすがに幼児語はなくなりましたが、幼児音があるので幼さが抜けません。
きっと同じように、子供のしゃべり方が幼いことを心配するママも多いと思います。子供の幼児音が気になったら、親はどう対応すれば良いんでしょうか。
勘違いしやすい幼児語と幼児音
まずは、勘違いしやすい幼児語と幼児音の違いから。
幼児語(ようじご)とは
幼児語とは、赤ちゃんが生後10か月ごろから3歳前後まで使う使う「まんま」「ぶーぶ」「あんと」などの赤ちゃん言葉のことです。
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幼児音(ようじおん)とは
幼児音とは、正確な発音ができないので、幼児特有の話し方になってしまう言葉のことです。ようは、舌足らずな話し方です。
たとえば、さ行が「しゃ・し・しゅ・しぇ・しょ」、た行が「ちゃ、ち、ちゅ、ちぇ、ちょ」になるので、「しぇんしぇー(先生)」、「ちゅみき(積み木)」などの発音になります。
幼児音・幼児語の原因
もちろん、初めから正しい発音はできません。たとえば、母音でも「あ」に比べて、「い」「う」は難しく、「え」「お」がはっきり発音できるのは3歳ごろです。
幼児音・幼児語の多くは、成長すれば正しく言えるようになっていきます。
ところが、5-6歳になっても幼児音や幼児語が残るのは、「構音障害」の可能性があります。と言っても、ほとんどは「機能性構音障害」なので、練習すれば少しずつ良くなります。
- 器質性構音障害
生まれつき唇、舌、口蓋、声帯などに形態異常があるため発音ができない障害 - 運動障害性構音障害
発声に関わる神経や筋肉の病気によって、思い通りに発音ができない障害 - 機能性構音障害
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幼児音にはどう対応すればいい?

とにかく日々子供に語りかける
子供の発音がたどたどしくても、毎日話しかけて発音のマネをする機会を作りましょう。語りかけは、赤ちゃんのころから行うものです。
- 口を大きく開けて話す
- ゆっくりした口調で話す
- 一度目を見てから話す
- 1対1の空間を作って話す
- 擬音語・擬態語をたくさん使って話す
- 二語文で話しかける
- こそあどは使わない
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発音の間違い・言い間違いを強く指摘しない
子供の発音がおかしかったり、言葉を間違えたら、流さずに訂正しましょう。「しぇんしぇー」と言ったら、「先生ね。」と優しく訂正してください。
子供は何度も言い間違いをしますが、言葉だけで訂正するんじゃなく、できるだけスキンシップしながらの方が良いですね。
しりとりなどの言葉遊びをする
うちでは、今でも寝る前にしりとりをしています。しりとりは発音練習になるだけじゃなく、語彙を増やす勉強にもなります。
また、「人の名前はダメ、物の名前だけ。」などのルールをくわえると、考える力も養えます。
口の筋肉を動かす意識をする
子供は、まだ口・舌・喉の筋肉をうまく使えないため、幼児音になることがあります。
そのため、ご飯をよく噛んで食べる、しっかりうがいをするなど、日常生活でうまく口周辺の筋肉を使うように指導しましょう。
正しい発音ができるまでの過程
正しい発音をするためには、口・舌・喉、肺が協調して動かないといけません。また、発声は、音によって難易度も変わります。
そのため、子供の発音がたどたどしかったり、発音に時期の差があるのは当たり前です。遅くない子でも、正しい発声を身につけるのは、5-6歳ごろです。
2-3歳代|ア・イ・ウ・エ・オ、タ・テ・ト、パ行、マ行、ヤ行、ン
2-5歳代|バ行
3-4歳代|カ行、ガ行、ナ行、チ、チャ行、ダ・デ・ド、ハ行、ワ
4-6歳代|サ行、ザ行、ツ、ラ行
構音障害とは?構音障害の原因、診断方法、訓練方法、家庭でできる工夫などを紹介【LITALICO発達ナビ】
意識するとわかりますが、言葉によって舌の使い方や空気の抜き方、唇の合わせ方が違います。わたしたちは普段何気なく言葉を話しますが、意識するとけっこう複雑です。
子供は、とても難しいことを身につけようとしています。わたしたちが、英語のLRを発音することが難しいのと同じです。
言葉の能力差が生活に影響するかも
もちろん、難しいことと言っても、いつまでも幼児音で過ごして良いわけではありません。
まぁ、個人的には多少の幼児音はかわいいんですが、子供の生活を考えると、やっぱり幼児音が出ないように矯正した方が良いですね。
小学生になると子供の個性も明確になり、運動能力や勉強能力などの差も少しずつ出てきます。
そして、その能力はコミュニケーション手段になるため、能力に応じた集団を作るようになります。すると、集団の中の個人のヒエラルキーの他に、集団同士のヒエラルキーもできていきます。
いっしょにいる友達のグループができていくということです。これは良し悪しではなくて、集団を作る人間なら当たり前の行動です。
そんな集団を作る要素の一つに、言葉の能力差が関係するかもしれないわけです。そのため、子供が小学校生活に慣れ始める1年生の後半には幼児音を治しておきたいところですね。