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保育園で1番忙しい時期は2月下旬から4月中旬、つまり年度末と年度初めですね。年度末~年度初めは、新クラスの編成が決まり引き継ぎ業務が行われます。
また、卒園式の飾り付けや予行演習があり、卒園式が終わればすぐ入園式……と大きな行事がめじろ押しです。とくに卒園式は保育園の集大成のため、職員全員が助け合わなければこの時期は乗り切れません。
では、年度末・年度初めの保育士は、具体的にどんな仕事をするんでしょうか。今回はこの時期の仕事や引き継ぎ内容をまとめてお話しますね。

保育士、幼稚園教諭、保育教諭歴20年以上。幼稚園、保育園、認定こども園など転職して述べ500人以上の園児を保育し、保護者の相談に答えてきました。両親・祖母が教師・保育士なので、保育士は多分天職です。
詳しいプロフィール
年度末までに行う仕事・引き継ぎ業務

- 引き継ぎ業務|次年度の担任に対して
- 引き継ぎ業務|小学校に対して
- 保育室の掃除
- 保護者への挨拶
- お別れ遠足などの準備
引き継ぎ業務|次年度の担任に対して
まず大切なことは、進級する園児の情報を次年度の新しいクラス担任に引き継ぐことです。引き継ぎは主に児童表や日誌で行うため、現在のクラス担任は、抜け漏れがないか見直ししてください。
引き継ぎ業務|小学校に対して
年長クラスの担任は、小学校への引き継ぎが必要です。引き継ぎ資料として使うのが、「指導要録(保育所児童保育要録)」です。
指導要録は、保育園から小学校に進学する子供の心身の発達状況、健康記録、家庭状況、また子供に対する指導概要を記載する資料で、小学校では幼小保連絡会を通して学級編成や個別指導の参考に利用します。
指導要録は子供の個性を表す大切な資料なので、なるべく具体的に記載しなければいけません。
保育室の掃除
保育室の掃除や整理も、保育士が年度末に行う大事な仕事です。これは進級児クラスも卒園児クラスも変わりません。
たとえば壁面の残りや汚れ落とし、掃除用具など用具類のチェック、整理棚の掃除、おもちゃ類のチェックと足りない分の発注など、細かく行うことはたくさんあります。
保護者への挨拶
多くの保育園では、卒園児の保護者に対して感謝の挨拶をします。卒園児が1クラスだと卒園式の中で、2クラス以上だと卒園式後に保育室で行うことが多いと思います(園によります)。
一方、進級児の保護者に公式に挨拶することは少ないですね。3月の園だよりにお礼の挨拶を書いたり、お迎えなどで保護者一人ひとりに、「1年間ありがとうございました。」と言うくらいでしょうか。
お別れ遠足などの準備
お別れ遠足は、卒園児が2月中旬-下旬ごろに行う思い出づくりの遠足で、行う園・行わない園があります。また、親子遠足を行う保育園もあります。
親子遠足の場合、保護者がいて子供に手がかからない分、細部に気を配る必要があります。下見で注意点を探し、失敗しないようにタイムスケジュールを何度も見直すなどです。
また食育に力を入れている園だと、お別れ給食(バイキングなど)があります。お別れ給食は給食さんが中心になるため、保育士は場作りなどの準備が主な仕事です。
新年度までに行う新しいクラスの準備

保育指針の年間計画作成
新年度でもっとも大変なことは、1年間の保育指針の年間計画を立て、月案、週案、日案を作成することです。年間計画は、年度末に園に提出するのが一般的でしょう。
保育指針はまず保育園で基本的な年間計画があるため、ならって個別クラスの年間計画、月案、週案、日案を作成します。園によっては、週案がなかったり、日案がない場合もあります。
また、保育室ごとに防災基準を満たしているかなどの防災チェック書類も作成します。
保育室の環境整備
新しく1年を始めるにあたって、お誕生日表などの壁面を作ったり、机や靴箱、ロッカーなどに名前シールを貼ったり、おもちゃや絵本、収納カゴなど備品類の不足をチェックします。備品類は年間計画で立てた予算案で発注します。
また乳児クラスの保育士は、調乳室や滅菌庫、おむつ交換台に不備や汚れがないかチェックします。
園児の名前を覚える
クラス担任になると、早めに子供全員の顔と名前と特徴を覚えて、一人ひとりの対応をシミュレートしなければいけません。進級クラスの園児は児童書や引き継ぎなどで覚え、新入園児は家庭調査書を見て覚えます。
前年度担任からの引き継ぎ
児童書は「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」の五領域の成長具合に目を通して、必要なら前年度の担任保育士から一人ひとりの状況を確認しなければいけません。
複数担任の業務確認
乳児クラスは複数担任なので、保育指針の確認や保育の進め方を確認します。もし担任が新人保育士の場合は、ある程度の教育が必要です。
新卒採用者は3月から研修に来ることが多いため、その際に保育業務を覚えてもらう園が多いでしょう。4月1日からは実際のお仕事が始まるため、その前に意識合わせが必要です。
その他
その他の業務としては、保護者への挨拶、4月の園だよりの作成、連絡帳の準備などがあります。これらは、保育園によって扱いが異なります。
年度の変わり目にやるべきことを押さえておこう
一般的に、保育園は年度が変わる時期でもお休みはありません。そのため、3月末まで通常の保育を行いつつ、年度末・新年度の準備を並行して進めます。もちろん、新年度は4月1日から始まります。
入園にしろ、卒園にしろ、園児にとっては晴れの舞台です。保護者もたくさん集まり、我が子の新しい門出に期待するため、その気持ちを裏切るわけにはいきませんね。
年度末・年度初めはバタバタして大変な時期ですが、保育士にとって1年の集大成でもあり、卒園していく子、入園してくる子、進級する子を見ることは感慨深くもあります。

1度経験すれば慣れる……とは言えませんが、このバタバタに早めに慣れるためにも、年度末にやること、年度初めに向けてやることは事前に押さえて、早めに取り掛かりたいところです。