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どんな仕事でもストレスは溜まります。不平不満や悩みがない仕事なんてありません。それでも保育士は、他の仕事に比べて悩みが大きい仕事だと言われます。
- 保育士が辞める理由って何が原因なんだろう……。
- 現役保育士って保育園にどんな不満や悩みがあるの?
- 働きやすくて不満がない保育園の探し方を教えて。

保育園辞めようかなぁと悩んでいる保育士にとって、他の保育士の退職理由や保育園に抱える不満は気になりますよね。
そこで今回は、仕事に悩んで不満を感じている保育士のために「保育士の退職理由ランキング」と「現役保育士が保育園に抱える不満・悩みランキング」を詳しく紹介します。
また将来のために、どうすれば不満や悩みが少ない保育園で働くことができるかについてもお話します。

保育士、幼稚園教諭、保育教諭歴20年以上。幼稚園、保育園、認定こども園など転職して述べ500人以上の園児を保育し、保護者の相談に答えてきました。両親・祖母が教師・保育士なので、保育士は多分天職です。
詳しいプロフィール
保育士の退職理由ランキング
東京都保育士実態調査報告書|東京都福祉保健局

上のグラフは、保育士の退職理由(複数回答)を調査した結果です。ランキングにして、前回調査の平成26年度の保育士の退職理由と比較してみます。
平成30年度 | 平成26年度 | ||||
---|---|---|---|---|---|
1位 | 職場の人間関係 | 33.5% | 1位 | 妊娠・出産 | 25.7% |
2位 | 給料が安い | 29.2% | 2位 | 給料が安い | 25.5% |
3位 | 仕事量が多い | 27.7% | 3位 | 職場の人間関係 | 20.6% |
4位 | 労働時間が長い | 24.9% | 4位 | 結婚 | 20.4% |
5位 | 妊娠・出産 | 22.3% | 5位 | 仕事量が多い | 20.3% |
6位 | 健康上の理由(体力含む) | 20.6% | 6位 | 労働時間が長い | 17.5% |
7位 | 結婚 | 18.4% | 7位 | 健康上の理由(体力含む) | 14.3% |
8位 | 他業種への興味 | 15.2% | 8位 | 他業種への興味 | 12.1% |
9位 | 子育て・家事 | 13.5% | 9位 | 子育て・家事 | 10.8% |
10位 | 転居 | 11.3% | 10位 | 転居 | 7.6% |
保育士の退職理由ランキングを比較すると、多くの保育士の退職理由は順位が違うだけで項目はほぼ同じことがわかります。
平成30年度調査では、保育士が辞める理由の第1位は「職場の人間関係」、第2位は「給料が安い」こと。また平成26年度は1位だった「妊娠・出産」が5位に落ちています。
これら保育士の退職理由は、ネガティブな退職理由と突発的な(ポジティブな)退職理由に分かれます。このネガティブな退職理由と突発的な退職理由を理解することはとても大切です。
- ネガティブな退職理由
給料が安い、職場の人間関係、仕事量が多い、労働時間が長いなど - 突発的な退職理由
妊娠・出産、結婚、子育て・家事、転居、家族の事情(介護等)など

保育士の退職理由はネガティブと突発的に分かれる


保育士の突発的な退職理由について
まずは突発的な退職理由から説明します。「妊娠・出産」「結婚」「子育て・家事」「転居」「家族の事情(介護等)」などは、保育士が保育園を突発的に辞める理由になりやすいものです。
もちろん「辞めたくないけど辞めなきゃダメ」なのか、「辞める理由ができて良い機会だから辞めよう」なのかは人それぞれ。アンケート調査でも本音を隠す人はいるので、

という保育士は一定数いるんだと思います。
保育士のネガティブな退職理由について
次にネガティブな退職理由ですが、「職場の人間関係」「給料が安い」「仕事量が多い」「労働時間が長い」の割合が多いのは、保育士の退職理由の特徴だと思います。
注目は「職場の人間関係」です。保育士の仕事は、給料や労働時間よりも人間関係が大切な職業です。
保育士は子供を安全に預かることが仕事です。子供のことなのでドライに対応できません。そのため良い人間関係を築ければ楽しい仕事になりますが、人間関係が悪ければつらい仕事になります。
もちろんいろんな性格の子供・保護者がいるので、すべての人と良い人間関係を築くことは難しいんですが、そんなときに助けてくれるのが同僚の保育士たちです。
ところが、やっぱり保育士同士でも合わない人もいます。人間なので仕方ないんですが、保育士はそんなギクシャクした人間関係が仕事に影響するため退職理由になりやすいんです。


現役保育士が保育園に抱える不満・悩みランキング
平成30年度東京都保育士実態調査報告書|東京都福祉保健局
上のグラフは、保育園に改善を希望する事項を調査した結果です。つまり、現役保育士が保育園に対して抱えている不満や悩みということです。

先ほどと同様、ランキングにして前回調査の平成26年度の退職理由と比較してみます。
平成30年度 | 平成26年度 | ||||
---|---|---|---|---|---|
1位 | 給与・賞与等の改善 | 65.7% | 1位 | 給与・賞与等の改善 | 59.0% |
2位 | 職員数の増員 | 50.1% | 2位 | 職員数の増員 | 40.4% |
3位 | 事務・雑務の軽減 | 49.0% | 3位 | 事務・雑務の軽減 | 34.9% |
4位 | 未消化(有給等)休暇の改善 | 36.5% | 4位 | 未消化(有給等)休暇の改善 | 31.5% |
5位 | 勤務シフトの改善 | 32.0% | 5位 | 勤務シフトの改善 | 27.4% |
6位 | 職員間のコミュニケーション | 27.7% | 6位 | 職員間のコミュニケーション | 20.3% |
7位 | 責任範囲の縮小 | 18.6% | 7位 | 研修機会の充実 | 13.7% |
8位 | 相談体制の充実 | 18.2% | 8位 | 相談体制の充実 | 13.5% |
9位 | 研修機会の充実 | 14.1% | 9位 | 園(など)の理念や運営方針 | 12.7% |
10位 | - | - | 10位 | 雇用の安定化(正規職員登用) | 12.6% |
こちらも先ほどの「保育士の退職理由ランキング」と同様、ほぼ同じ項目です。こちらは順位もほぼ同じですね。現役保育士が保育園に抱える不満や悩みは時間が経っても変わらないようです。
1位は「給与・賞与等の改善」で65.7%の現役保育士が給料に不満を持っています。また2位は「職員数の増員」、3位は「事務・雑務の軽減」と仕事の悩みが続いています。

現役保育士が保育園に抱える不満の詳細
1位|給与・賞与等の改善|65.7%
現役保育士が抱える不満・悩みの1位は、やっぱり給料ですね。保育士の給料が安いのは周知の事実……ところが最近は少し様子が変わってきています。
令和2年度(2020年度)の賃金構造基本統計調査によると、保育士の平均月給は24.98万円、ボーナスを含んだ平均年収は374.5万円となっています。
年齢 | 勤続年数 | 実労働 | 超過実労働 | 月次給与額 | 年間賞与等 |
---|---|---|---|---|---|
37.6歳 | 7.7年 | 168時間 | 2時間 | 24.98万円 | 74.74万円 |

と思った人もいるでしょう。近年の国の支援によって、保育士の給料は上がっています。平成26年時の保育士の平均年収は317万円だったので、60万円も上がっています。
ちなみに、国税庁によると令和2年の日本の女性労働者の平均年収は280万円とのこと。
ただ給料が上がったことを実感できない保育士もいます。その理由は以下で解説しています。給料が上がっている実感がないなら、その原因は把握しておきましょう。
2位|職員数の増員|50.1%
仕事が忙しいから保育士を増やしてほしい、という悩みが2位です。こちらも現役保育士ならよくわかる悩みですね。
厚生労働省の資料によると、保育士の有効求人倍率は平成29年度が3.4倍、平成30年度が3.64倍、令和元年度が3.86倍、令和2年度が2.94倍と推移しています。
以前に比べて保育士の待遇は改善していますが、まだ現場の保育士は不足しています。「保育士や職員の数を増やして欲しい」と保育園に訴えても、保育士不足はなかなか解決しません。
待遇が改善しているのに保育士が集まらない理由は、以下のことが考えられます。
- 保育士が転職をすること自体に抵抗がある
- 保育士の待遇が悪いというイメージが定着している
- 待遇改善の状況が保育士全体に浸透していない
3位|事務・雑務の軽減|49.0%
事務・雑務が多いことも保育士の悩みです。保育士の仕事は子供の保育だけじゃありません。
日案・週案などの保育指導方針、日誌や連絡帳、壁面(最近は減った)、行事の準備、保護者の相談、接客や発注など事務作業、行事企画や準備、園内掃除など挙げるとキリがありません。
またアレルギーや障害児対応、虐待や貧困の増加など保育ニーズの多様化で、保育自体の負担も増えています。小学校の先生も同じことが言えますが、教育・保育とは違う仕事が多いのは問題ですね。
なお現役保育士は保育士の仕事として以下のことに負担を感じています。

4位|未消化(有給等)休暇の改善|36.5%
育児と仕事を両立している保育士も多いですね。子供がいると子供の発熱で年に何度か保育園を休んだり、早退しなければいけないことがあります。
そういった子供に関する緊急事態の場合は有給を消化して乗り切りますが、抜けた保育士の穴は別の保育士が埋めなければいけません。
そのため、未婚の保育士や子育てが終わったベテラン保育士ほど有給が取りづらい傾向があります。

有給のとり方やうまく有給消化する考え方を知りたい人は、以下を参考にしてください。
5位|勤務シフトの改善|32.0%
保育士の勤務時間は保育園によって違いますが、子供の預かり時間は長くなり、複数シフトの時差出勤制になることが多いですね。
一般的な保育園の早番は7時前出勤が当たり前です。延長保育、早朝・夜間保育がある保育園は昼間と別の保育士が担当することが多いですが、ヘルプで駆り出されることもあります。
そのため、責任感が強い保育士ほどシフトの波ができることも悩みです。さらにこのような状況で、2-3時間のサービス残業が常態化している保育園もあります。
6位|職員間のコミュニケーション|27.7%
保育士は子供や保護者とのコミュニケーションも大切ですが、円滑に仕事をするために保育士同士のコミュニケーションも大切です。
「職員間のコミュニケーションくらいかんたんでしょ!」と思うかもしれませんが、女性だけの職場で勤務時間がバラバラ、昼間は保育漬けだと人間関係がうまくいかず悩みを抱える人も多いです。
保育士の年齢もまちまちで、新卒で入ったら他の保育士は全員30代以上という保育園も珍しくありません。スムーズな保育のためにも、普段から意識して良い人間関係を築く努力が必要です。

7位|責任範囲の縮小|18.6%
子供は心身の発達で個人差があります。自然な成長を大切にしつつ差を埋めるのも保育士の仕事なので、子供の成長に対する責任はとても重く悩みの種になっています。
また近年は車が園児の列に突っ込んだり、通り魔が園児を刺したりなどの事件を目にしますが、そこまで大きな話じゃなくても、子供が保育園でケガをしたり、感染症にかかれば責任を感じます。
そのため、子供の命を預かる責任の重さに悩んで辞めてしまう保育士も多いです。実際に潜在保育士が保育士に復帰しない理由の第一位が、「責任の重さ・事故への不安」です。
8位|相談体制の充実|18.2%
保育士は新卒で担任になることも多く、経験しながら手探りで仕事を覚えていきます。その際に、仕事の相談をする時間や体制がないことも保育士の悩みの一つです。
ベテランのパート保育士が補助したり、複数担任の乳児クラスなら相談できますが、保育園では「背中を見て学べ」という風潮もあるので相談体制は整えて欲しいところ。
保育園内に相談体制が整っていなければ、自治体に悩みを相談する方法もあります。都道府県にはそれぞれ保育士専門または福祉業務の独立した相談窓口があり、仕事の悩みを専門家に相談できます。
たとえば東京都は東京都保育人材・保育所支援センター(ホイクマ)、神奈川県はかながわ保育士・保育所支援センターなどです。詳細は都道府県のサイトで確認してください。
9位|研修機会の充実|14.1%
保育士は子供の保育や保護者の悩み相談に対応するために、学ぶことがいっぱいあります。
たとえば発達心理学、栄養学、衛生管理学などの外部研修(園外研修)があれば、積極的に参加させる保育園も多いですね。
個人的には遠くまで行って1日座りっぱなしは辛いので「頻繁には無くていいかなぁ……」と思うこともありますが、学ぶ機会がないと保育のモチベーション維持が難しくなります。
このような研修機会の要望もあって保育士キャリアアップ研修ができ、受講者も増えました。キャリアアップ研修はいつかは受けるものなので、早めに内容を押さえた方が良いです。
紹介した不満・悩みランキングを見てわかる通り、現役保育士が不満を抱くのは給料や仕事に関する事柄が多いですが、実際の退職理由ランキングでは職場の人間関係がトップです。


保育士は保育園の不満や悩みにどう向き合えば良い?

すでに保育士を辞めていて復帰意欲がない人は良いのですが、現役保育士や復帰したい潜在保育士は今回紹介した保育士の退職理由や現場での不満・悩みに向き合う必要があります。
まずは自分が進む道を決めてください。恐らく以下のどれかになると思います。
- 保育士を辞めて保育・子供に関わらない異業種に転職する
- 保育士を辞めて保育・子供に関わる仕事に転職する
- 保育士を辞めてしばらくの間仕事をしない
- 問題を解決のために違う保育園に転職して保育士を続ける
- 問題を抱えたまま我慢して今の保育園で保育士を続ける
保育士の仕事がまったく肌に合わないなら仕方がないのですが、人間関係が悪い、給料が安い、仕事が多いなどネガティブな理由で保育士自体を辞めてしまうのはもったいないと思います。

個人的には保育士は保育業界での転職がおすすめです。保育士資格と保育経験があれば、保育園(幼稚園)、こども園、支援センターなどどこでもすぐ仕事になじめます。
子供と関わる仕事、保育士資格を活かせる仕事はたくさんあるので、興味がある人は以下を参考にしてください。
転職するにしても保育士を辞めるにしても、保育園を円満に上手に退職できる方が良いですね。これからの人生のためにも、保育園を辞めた後まで見通しておくことが大切ですよ。
