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保育士は育児中のママが多い仕事なので、育児との両立のために正社員からパート保育士になる人が多いですね。ちなみに、わたしも現在は子育て中のパート保育士です。
でも条件次第では、パート保育士より正社員のまま時短勤務(短時間勤務制度)を検討した方が良い人もたくさんいます。時短勤務は、正社員メリットを残したまま一定期間短時間勤務ができる制度です。
- 時短勤務ってどんな制度?パート保育士よりいいってほんと?
- 短時間の勤務だと給料はどうなるのかな?心配なんだけど……。
- うちの保育園でもちゃんと時短勤務って使えるのかな?

「子育て忙しいから保育士辞めようかなぁ。」「子供が3歳になるまではパート保育士しようかなぁ。」と考えていた人は、この記事で時短勤務のメリットを理解して最適な働き方を選択しましょう。
とくに時短勤務中の給料について不安に思っている人は多いので、しっかり押さえてください。

保育士、幼稚園教諭、保育教諭歴20年以上。幼稚園、保育園、認定こども園など転職して述べ500人以上の園児を保育し、保護者の相談に答えてきました。両親・祖母が教師・保育士なので、保育士は多分天職です。
詳しいプロフィール
保育士の時短勤務の働き方の特徴は?


時短勤務とは、定時で8時間勤務している保育士が子供が3歳未満の間は1日の労働時間を6時間未満に短縮できる働き方です。正式には「短時間勤務制度」と言います。
- 時短勤務が使える保育士の条件
- 保育士の時短勤務の働き方の事例
時短勤務が使える保育士の条件
時短勤務を利用できる保育士は、以下の条件すべてに該当する保育士です。「いつまで時短勤務を使えるか」は、意外と知らない人が多いんじゃないかと思います。
- 日雇い以外の働き方であること
- 子供が3歳未満であること
- 労働時間が一日6時間以上あること
- 労使協定で適用除外とされていないこと
- 時短勤務時に育休を取得しないこと
いちばん大切なことは「子供が3歳未満であること」です。そのため、子供が3歳未満のうちに早めに時短勤務を検討してください。
またパート保育士でも使えますが、正社員メリットを活かすために時短勤務を使った方が良いので、パート保育士が使っても意味がありません。
これら最低限の条件に加えて、「入職後1年以上経過していること」「1週間の所定労働日数が3日以上あること」を条件としている保育園もあります。このあたりは転職したい人が注意する条件ですね。
保育士の時短勤務の働き方の事例
時短勤務を利用した保育士の働き方の例です。勤務時間は保育園と調整して決めますが、時短勤務にすることで今までより余裕を持って育児ができるようになります。

保育士が時短勤務を利用するメリット

- 正社員の給料規定・キャリアを維持して育児と両立できる
- 社会保険料が減っても将来の年金額は減額されない
- 福利厚生はそのまま正社員の条件が適用される
- パート保育士より正社員の方が転職時に印象が良くなる
正社員の給料規定・キャリアを維持して育児と両立できる
時短勤務を利用すれば勤務時間が短くなるだけじゃなく、正社員のままキャリアを維持できます。
もしパート保育士になると正社員から外れるため、昇進や昇給、ボーナスの規定が適用されません。その後に正社員に復帰してもゼロスタートです。

社会保険料が減っても将来の年金額は減額されない
後で詳しく説明しますが、時短勤務で勤務時間が短くなるとその分給料は減ります。そして時短勤務中に支払う社会保険料も、減額された給料に見合う分を納めます。
ただ年金事務所に「3歳未満の子を養育する場合の厚生年金保険料の特例措置」を届ければ、給料減額前の社会保険料を納めているとみなされます。
つまり時短勤務で納める社会保険料が減っても、将来もらえる年金額が減らないということです。
ただし旦那さんの扶養に入って第3号被保険者になった方が、もらえる年金は変わらずに時間を有効活用できる人は大勢います。このあたりは条件によるので、税理士に聞くことをおすすめします。

福利厚生はそのまま正社員の条件が適用される
正社員とパート保育士では、福利厚生が違います。退職金制度、資格手当、リフレッシュ休暇、バースデー休暇など保育園によって制度は違いますが、正社員しか使えない制度が多いと思います。
ちなみに有給休暇は所定労働時間で日数が決まるので、時短勤務もパート勤務も労働時間に合わせて同様にもらえます。
パート保育士より正社員の方が転職時に印象が良くなる
転職のときに保育士の経験を重視する保育園だと、パート保育士よりも正社員の方が印象が良くなる可能性があります。時短勤務の利用を履歴書に書く必要はありません。


保育士が時短勤務を利用するデメリット

- 時短勤務で勤務時間が減った分給料が減る
- 1日8時間or週40時間超えないと残業にならない
- 同僚・先輩保育士には短時間勤務の根回しが必要かも
- 時短勤務なのに仕事量が変わらないかも
- 勤務時間が短くなっても休みは増えない
- 時短勤務をよく知らない保育園もある
- そもそも時短勤務の環境が整っていない
時短勤務で勤務時間が減った分給料が減る
先程話した通り、時短勤務で勤務時間が減ると働く時間が減った分の給料も減ります。給料が減った分、補助金などが出るということもありません。

具体的には、現在の給料を時間換算して給料が決まります。たとえば、基本給18万円の保育士が時短勤務を使って、8時間から6時間勤務に変わった場合、基本給が25%減って13.5万円になります。
そのため基本給13.5万円をベースにして、ボーナスや手当などの給料が決まります。時短勤務をしたい人は、給料が減る分の生活費を見越しておきましょう。

1日8時間or週40時間超えないと残業にならない
時短勤務は基本的に6時間未満ですが、それを超えて仕事をしても8時間未満は残業になりません。
労働基準法の時間外割増賃金(残業代)は、1日8時間または週40時間を超える労働に対して発生するものです。そのため、勤務時間が8時間未満の場合は通常の賃金計算になります。

同僚・先輩保育士には短時間勤務の根回しが必要かも
時短勤務は労働者の権利なので賢く使う分には問題ありませんし、保育園側も配慮をする必要がありますが、周囲の人の感情まではコントロールできません。
そのため人が少なく仕事が忙しい保育園だと、同僚・先輩保育士に時短勤務をよく理解してもらう必要があります。つまり、時短勤務で人間関係が悪くならないよう根回しが必要です。

時短勤務なのに仕事量が変わらないかも
時短勤務でも、正社員なので仕事量が変わらない保育園もあります。
さらに先ほど話した通り勤務時間が6時間を超えても残業にならないので、配慮がない保育園だと勤務時間が減った分の持ち帰り仕事が増えるかもしれません。
しかも時短勤務をして「申し訳ないなぁ。」とあなたが思っている分、誰かに「ごめん、今日だけお願い。」と依頼されると断りにくくなり、時短勤務の意味がなくなってしまいます。
勤務時間が短くなっても休みは増えない
パート保育士だと保育園との話し合いによって、週3勤務、週4勤務など休みを増やせます。
ところが時短勤務で働く保育士は、正社員扱いなので勤務時間が短くなっても休みは増えませんし、休みの取りやすさもこれまで通りです。

時短勤務をよく知らない保育園もある
法人が労働者の時短勤務を妨げることは違法です。ところが昔ながらのワンマン園長の中には、時短勤務制度をよく知らない人もいます。
そういう人に時短勤務で働く時間を制限して欲しいと話をすると、嫌な顔をされる可能性はありますね。

そもそも時短勤務の環境が整っていない
時短勤務は労働者の権利なので、経営者は保育士が時短勤務を使う環境を整えなければいけません。
ただ保育園は保育士不足なので、誰かが時短勤務をするとその分の仕事が他の保育士に回ったり、時短勤務をする人が持ち帰り仕事をするなど時短勤務の意味がない場合もあります。

保育士が時短勤務で働くときの準備やポイント

時短勤務は育児が忙しい保育士にとってメリットがある働き方ですが、保育園の状況次第で時短勤務の利用を後ろめたく感じる人もいますね。
また時短勤務をうまく使いたい人は、まず保育園に申請する必要がありますが、時短勤務を申請すると嫌な顔をされたり、時短勤務はできないなど言われる可能性もあります。

という人は時短勤務を諦めたり、意味のない時短勤務をしないように、時短勤務で働くための準備やポイントを押さえておきましょう。
- 同僚に時短勤務を始める根回しをする
- 時短勤務をいつまで続けるか決める
- 毎日の仕事・タスクを整理する
同僚に時短勤務を始める根回しをする
時短勤務をしたい人は、同僚に対する根回しをしてください。とくに育児未経験の保育士や子育てを終えたベテラン保育士が多い保育園では、事前に短時間勤務をすることについて話をしておきましょう。
事前に時短勤務で迷惑をかけることを話し、了承を得て感謝の気持ちを伝えてください。一人でも多くの味方を作っておけば、気持ちもスッキリして意味がある時短勤務ができます。

時短勤務をいつまで続けるか決める
時短勤務は、子供が3歳になる前日まで続けることができます。ただ、保育士.netのアンケートによると、時短勤務の期間は7割以上の人が「1年未満」で終了しています。
時短勤務の期間が短い理由は、仕事の密度が濃くなったり、保育園に迷惑をかける気持ちがプレッシャーになったり、給料が減って家計に支障が出ることなどが考えられます。
そのため、ある程度自分の中で時短勤務の時期を決めて、時間を有効活用する気持ちを持っておくと心の整理もつけやすいです。

毎日の仕事・タスクを整理する
時短勤務をしても、通常時と仕事量が変わらないという保育士もいます。そのため、毎日の仕事・タスクを整理して、これまでより効率的に仕事をこなす意識が大切です。
本来、時短勤務関係なく毎日の仕事やタスクを整理する習慣があれば、もっと仕事は楽になりますよ。


保育士の時短勤務を推奨する保育園の探し方
保育士の時短勤務の文化がない保育園では、せっかくの時短勤務も意味が薄くなる可能性があります。
時短勤務制度をうまく活用したいなら、出産後は時短勤務をアピールする保育園に勤めるのが手っ取り早いですね。時短勤務をアピールする保育園には以下の特徴があります。
- 周りに子育てをする保育士が多い
- 保育園に時短勤務の環境が整っている
- 同僚保育士が時短勤務に協力的
- 1年の継続勤務の条件がない
とくに現在育児中ですぐにでも時短勤務を使いたい人は、「1年の継続勤務の条件がない」ことが重要です。求人票に記載がないことなので、転職エージェントに該当求人を探してもらいましょう。
転職エージェントを利用すれば求人探し、転職先との連絡、条件交渉などの手間や時間を削減できます。
選び方がわからない人は、わたしが使っていたマイナビ保育士と保育士バンクを使ってみてください。公開求人数、拠点数、評価は以下の通りです。
サイト名 | 公開求人 | 拠点数※ | 転職フェア | 担当者 | サポート | 口コミ |
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マイナビ保育士 | 20,060件 | 12拠点 | ○ | 4.8 | 4.7 | 4.8 |
保育士バンク | 17,677件 | 8拠点 | ◎ | 4.7 | 4.8 | 4.8 |
拠点数はサービス全体、またはグループ全体のものです。
上記は2022年3月時点のサイト内調査による数値、または予測数です。
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保育士バンクは担当者に元保育士が多く相談しやすいことが特徴です。またWEB面接や転職フェアなどサポートの質が高く、非公開求人も多くて使いやすいです。
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- 担当者からの電話連絡がないのでマイペースで活動できる
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それぞれのサービスの特徴は以下でまとめたので、転職を考えている人は参考にしてください。
もちろん、時短勤務制度が使いやすいかどうかだけで求人を決めてはいけません。転職したい求人が見つかったら、働きやすい保育園を見分けるために以下の記事を読んでください。
時短勤務をいつまで使えるか知らない人は多いです。限られた期間ですが子供が3歳になるのはあっという間なので、うまく活用して保育士と子育てを賢く両立したいですね。
