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本ページにはプロモーションが含まれます。わたしは保育業界に20年います。ある程度ベテランのおばちゃん保育士ですね。なぜ20年も保育業界で働いているかと言うと、保育士として働くことにやりがいを感じているからです。
たしかに保育士は仕事が多い、給料が安い、残業が多い、休みづらいなどデメリットのイメージで注目されることも多いですが、本当にデメリットだけだと20年も続きません。
保育士にはメリットとデメリットがあり、バランスが取れているから職業として成り立っています。
というのは保育士になりたい人だけじゃなく、保育士を辞めるか続けるか迷っている人、他の保育園に転職を考えている人も改めて疑問に思うことです。
- 保育士のメリット・デメリットって何?
- 保育士っていつどんなやりがいを感じるの?
- 保育士にやりがいを感じなくなったらどうする?
これから保育士になりたい人、今後も保育士を続けるか迷っている人にはこの記事を読んでください。
わたしが感じる保育士のメリット・デメリット、将来的なやりがいを知ってもらい、今後の進退を決める参考の1つにしてもらえればと思います。
わたし自身は保育士が好きですし、保育士に良いイメージを持ってもらいたいですが、もちろん納得できなければ保育士を辞めたって良いと思います。
保育士、幼稚園教諭、保育教諭歴20年以上。幼稚園、保育園、認定こども園など転職して述べ500人以上の園児を保育し、保護者の相談に答えてきました。両親・祖母が教師・保育士なので、保育士は多分天職です。
詳しいプロフィール
保育士として働くメリット
- 保育士は職業として安定している
- 保育から子育てに役立つ知識が身につく
- 保育士の仕事と育児は両立しやすい
- ベテラン保育士になるほど評価される
- 意外と役職にキャリアアップしやすい
- 保育士資格を活かして転職しやすい
- 保育士というだけでモテるかも
保育士は職業として安定している
仕事には流行り廃りがあり、2-3年後にはなくなってしまうサービス業や飲食業、中小企業がたくさんあります。対して保育園、とくに認可園は税金で成り立っているので職業として安泰です。
また保育士は慢性的に人で不足なので、保育士を求める保育園はたくさんあります。そのため保育士資格を持っていれば、誰でも働くことができる仕事です。
保育士の有効求人倍率は3倍以上、東京だけに限ると6倍以上もあります。3倍とは求人枠100人に対して33人しか応募がない状況です。詳しくは以下を参考にしてください。
日本の少子化対策、働き手の減少とセットになるのが子供の預け先問題と保育の充実です。そのため、様々な理由で保育士は今後もある程度は安定した職業と考えて良いですね。
保育から子育てに役立つ知識が身につく
基本的に保育と子育ては別物ですが、子供をあやしたり、おむつを変えたり、離乳食を作ったりなど共通点も多いです。そのため、保育で得た知識と経験は必ず子育てに役立ちます。
また保育士は子供と接する時間が多いので、子供の理不尽な行動はよく理解しています。その分、他の女性に比べて育児ストレスは軽いんじゃないかと思います。
保育士なら知っている通り、保育と子育ては違うものです。この違いを理解したうえで、保育士は保育に取り組む必要があります。保育と子育ての違いは以下を参考にしてください。
保育士の仕事と育児は両立しやすい
保育現場にはママ保育士がたくさんいます。そのため子供の急な発熱や体調を崩したときの大変さをわかってくれますし、積極的にシフトを代わってくれます。
普通の企業勤めで子供の突発的な症状を理解してもらえず苦しい思いをしている人よりは、圧倒的に子育てしながら働きやすいのは大きなメリットです。
ベテラン保育士になるほど評価される
保育士は子供、保護者の対応がうまいほど評価されます。やっぱりベテラン保育士は子供の扱いがうまいですし、保護者からも頼られる傾向があります。
保護者から頼られるようになると、保育にも余裕が出てきますね。保育士は子育て経験の有無より、保育経験の方が重要です。
意外と役職にキャリアアップしやすい
保育園あたりの保育士の平均人数は14-15人ほど。その中から主任保育士になれるのは1人です。ただ、積極的に主任保育士を目指す保育士はあまりいません。
そのためキャリアアップ志向の保育士が計画立てて目指せば、意外と主任保育士にはなりやすいと思います。ちなみに私立保育園の主任保育士の年齢は40歳前後、平均年収は500万円前後です。
主任保育士の仕事内容や給料の目安などを詳しく知りたい人は以下を参考にしてください。
保育士資格を活かして転職しやすい
現在の潜在保育士は70万人ほどですが、保育士資格は割と良い資格なので使わないともったいないです。保育士資格があると支援センターや学童、託児所、ベビーシッターなどで働きやすくなります。
さらに保育業界だけじゃなくデパートの迷子係、子供服の販売員、音楽教室の先生、おもちゃ屋の店員など子供が集まる場所は保育士資格があると採用に有利です。
保育士資格や保育経験を活かせる仕事を知りたい人は以下を参考にしてください。
保育士というだけでモテるかも
保育士は男性から幻想を抱かれやすい仕事です。家庭的、優しそう、子供が好き、甘えさせてくれそうなど、勝手に良いイメージを抱いてくれるので、第一印象はとても良いですね。
保育士というだけで、2割はモテ度が上がると思います。ただ出会いが少ないのが難点なんですが(^_^;)
保育士として働くデメリット
- 保育士は重労働の割に給料が安い
- 保育以外にも書き物・雑用など仕事が多い
- 保育園の雰囲気次第で休みが取りづらい
- 子供に風邪をもらいやすい・治らない
- 保育士や保護者との人間関係がわずらわしい
- 保護者の期待・子供に対する責任が重い
保育士は重労働の割に給料が安い
「給料が安い」はよく言われる保育士のデメリットです。平成28年度賃金構造基本統計調査によると保育士の給料は年収324.7万円で、女性全体の平均年収より50万円ほど低い状況です。
たしかに保育士はずっと立ったまま、重い子供をずっと抱っこ・おんぶで抱えているなど重労働の部類に入るのは間違いありません。ただ保育士より過酷な仕事もたくさんあります。
ところが最近はその傾向も変わっています。令和2年度賃金構造基本統計調査によると保育士の年収はかなり上っています。年齢別の平均年収を比較するとわかりやすいと思います。
年齢 | 保育士平均年収 | 全女性平均年収 |
---|---|---|
20-24歳 | 3,011,900円 | 3,010,900円 |
25-29歳 | 3,520,200円 | 3,598,700円 |
30-34歳 | 3,585,600円 | 3,778,000円 |
35-39歳 | 3,825,200円 | 3,973,900円 |
40-44歳 | 3,818,600円 | 4,117,000円 |
45-49歳 | 3,952,900円 | 4,192,200円 |
50-54歳 | 4,050,000円 | 4,210,800円 |
55-59歳 | 4,194,600円 | 4,103,900円 |
60-64歳 | 3,604,900円 | 3,345,700円 |
65-69歳 | 4,081,400円 | 2,953,400円 |
さらにまともな保育園で計画的にキャリアアップすれば、給料はかなり上がります。主任保育士の平均勤続年数は20年ほどなので、40代で年収500万円も可能です。
保育所(私立・公立) | 区分 | 勤続 | 平均年収 |
---|---|---|---|
主任保育士 | 私立 | 21.7年 | 5,075,592円 |
主任保育士 | 公立 | 25.1年 | 6,740,700円 |
保育士 | 私立 | 11.2年 | 3,621,876円 |
保育士 | 公立 | 11年 | 3,637,356円 |
保育補助者(無資格) | 私立 | 4.9年 | 2,683,008円 |
保育補助者(無資格) | 公立 | 4.9年 | 1,784,640円 |
保育以外にも書き物・雑用など仕事が多い
保育士の仕事は、基本的に早番、中番、遅番のシフト制で8時間勤務です。8時間勤務のほとんどは保育の時間で、書類作業や他の雑務をする時間がない保育園も多いです。
そのため保育士は自主的に残業したり、持ち帰り仕事をする必要があります。しかも、持ち帰り仕事は残業代が出ないサービス残業になっている人も多いです。
保育士の持ち帰り仕事やサービス残業の残業代請求方法を知りたい人は以下を参考にしてください。
保育園の雰囲気次第で休みが取りづらい
人手不足の保育園ではギリギリの人員で仕事を回しているため、たまたま保育士が複数人休むと保育の手が足りなくてバタバタします。
とくに行事前は残業や持ち帰り仕事が増えます。そんな忙しいときに休むと他の保育士にしわ寄せがあることがわかっているので、個人的な用事では気を使って休みを取れない人もいます。
有給休暇やそれ以外の休みを取りやすい保育園には特徴があります。休みを取りやすい・取りにくい保育園の特徴は以下を参考にしてください。
また最近は延長保育や土曜保育が当たり前の私立保育園も増えています。そのため正社員になると土日の完全週休2日制は難しいですし、働く時間も不安定になります。
子供に風邪をもらいやすい・治らない
保育士は、子供から感染症や風邪などの病気をもらいやすい仕事です。しかも年中誰かが風邪や病気にかかってるので、体が弱い保育士だとなかなか病気が治りません。
とくに冬場は感染症の季節なので、子供からインフルエンザや嘔吐下痢をもらって年末年始はダウンして過ごすことも多いです。これは大きなデメリットです。
保育士や保護者との人間関係がわずらわしい
保育士は保護者と毎日顔を合わせるので保護者対応が大切です。主張が強い保護者、クレームがちな保護者はどの保育園にもいるので、人間関係に悩むこともあります。
また保育士は保育士同士の連携が大切な仕事です。そのため同僚と人間関係がうまくいかないとストレスが溜まるだけじゃなく、スムーズな仕事が難しくなります。
人間関係や雰囲気が良い保育園は事前に見分けられます。詳しくは以下を参考にしてください。
保護者の期待・子供に対する責任が重い
近年、車が園児の列に突っ込んだり、通り魔が園児を刺したりなどの事件がありましたが、多くの保育士が「いざとなったら子供を守らないと……。」と考えています。
そこまで大きな話じゃなくても、子供が保育園でケガをしたり、感染症にかかったらやっぱり責任を感じます。そのため、子供の命を預かる責任の重さがプレッシャーになることもあります。
実際に厚生労働省の資料「保育分野における人材不足の現状」によると、潜在保育士が保育士に就業しない理由の第一位が「責任の重さ・事故への不安」です。
わたしが保育士にやりがいを感じた瞬間
人によってやりがいを感じる瞬間は違うものですが、保育士がやりがいを感じるのは一般的に以下のときだと言われますね。
- 子供を笑顔にさせられたとき
- 子供の成長を感じられたとき
- 保護者から感謝されたとき
- 子供が卒園後に会いに来てくれたとき
これらはわたしも同意です。やっぱりわたしが保育士にやりがいを感じるのは、子供関係が多いですね。子供が好きで保育士になった人は、仕事が大変でも以下の通り必ず報われる日がやって来ます。
- 先生大好き!と言われたとき
- 子供の成長を見られたとき
- 卒園式で寂しがってくれたとき
- 保護者にありがとうを言われたとき
- 卒園後も年賀状など連絡をくれるとき
- 偶然会って「先生!」と気付いてくれたとき
先生大好き!と言われたとき
普段やんちゃばかりして「静かにしなさい!」と叱る子が、急に「先生大好き!」と足に絡んで来ることがあります。「なに○○くんどうしたのー。」なんて言いますが、けっこう嬉しいです。
「おれ、せんせいとけっこんするー」「わたしもけっこんするー」みたいな掛け合いも微笑ましいですし、癒やされますね。
子供の成長を見られたとき
入園当初はずっと泣いてた子たちが、初めての運動会や発表会でがんばる姿を見るとぐっと来ます。泣いてる子を「だいじょうぶ?」と慰める子も出てくるので、「あー、成長してるなぁ。」と感じますね。
また乳児だと初めて立ったり、歩いたりするのが保育園の子も多いので、それを保護者に伝えて喜んでもらえるとこっちも嬉しくなります(伝えるときはちょっと気を使う)。
卒園式で寂しがってくれたとき
卒園式は練習の時点でけっこうやばいですが、子供が賞状を受け取る姿を見たり、そのあとクラスに戻ってみんなに話をするときは号泣します。
とくに入園のときから知ってる子が「先生、写真撮ろー!」って言ってくれたり、保護者に隠れて泣いてるのを見ると鼻水が止まりません。
保護者にありがとうを言われたとき
保護者会で寄せ書きやお花などを用意してくれて、「先生お疲れ様!1年間ほんとにありがとう!」と言われたときも号泣します。
親が子供を預けるのは小さなことじゃないですし、保育士が期待されていることもわかってます。そのため肩の荷が降りたこと、ある程度信頼してくれたことで大きなやりがいを感じます。
卒園後も年賀状など連絡をくれるとき
わたしが初めて受け持った子は、いまだに毎年年賀状をくれます。もう大学卒業です(かなり頭が良い大学)。こんな出会いをくれる仕事は、保育士以外ないと思います。
小学校に上がった子の保護者と町中で会ったときに、「この前うちの子と先生の話しててさぁー。」なんて言われるのも嬉しいですね。
偶然会って「先生!」と気付いてくれたとき
買い物をしていて、「あれ?まーさ先生ですか?」と何度か声をかけられたことがあります。
小学校高学年から中学生くらいの子ですが、卒園から何年も経っているのに顔を覚えていて、わざわざ声をかけてくれるんです。わたしの容姿は変わってるのに……。
もちろん、わたしも記憶をたどると名前を思い出せます。受け持った子供は、深い思い出を残してくれるんだなぁとあらためて感じます。
保育士にやりがいを感じないときはどうする?
保育士のメリットとやりがいは別物です。保育士のやりがいは、保育士に慣れたころ、また振り返ったときに「保育士やっててよかったー」と感じるものです。
ところが、「わたしはそんな経験ないし、保育士にやりがいを感じない。」「前はやりがいを感じたけど、もう感じないし辞めたい。」という人もいるかもしれません。
- 身近な保育士からやりがいを聞く
- 保育士以外の人から仕事のやりがいを聞く
- 保護者と積極的に話をしてみる
- 子供の保育に没頭してみる
身近な保育士からやりがいを聞く
同じ保育園の同僚や先輩保育士から、保育士としてやりがいを感じる瞬間を聞いてください。
身近な保育士なので、あなたが知ってる具体的な出来事や子供・保護者の名前が出ると、あなたもそのやりがいをイメージできるかもしれません。
保育士以外の人から仕事のやりがいを聞く
「なんでわたしは保育士にやりがいを感じないの……。」と思ったら、保育士以外の人に仕事のやりがいを聞いてみましょう。
保育士のやりがいは、子供や保護者からだけではありません。他の仕事のやりがいを聞いてヒントをもらえれば、それをマネることで保育士のやりがいを感じるかもしれません。
保護者と積極的に話をしてみる
「保護者が苦手だなぁ。」と避けたい人もいると思います、保育士は「子供の成長を喜ぶ」保護者と同じ目線を持ってます。その喜びを共有すれば、保護者と打ち解けて信頼関係が強くなります。
また子供は家庭で保育園の出来事をよく話します。もちろん「先生がこんなことしてくれた。」「先生に褒められた。」など先生の話もします。
保護者と話すと家庭内の様子もたくさん聞けますし、自分の話を家庭でしてくれることを知ると喜びを感じると思います。
子供の保育に没頭してみる
「仕事が嫌だなぁ。」と思っても、子供と触れ合うときは、なるべく余計なことを考えずに子供の保育に没頭してみてください。
もしかしたらマイナス思考になっていて、最近の子供の成長や心の動きに目が向いていなかっただけかもしれません。子供の素直な心に触れると、やりがいも生まれますよ。
保育士のメリットとデメリットをよく知ることで、客観的に保育士の仕事を見つめることができれば、楽しいことや感動することはたくさん見つかり、やりがいに繋がるはずです。
保育士のやりがい、メリット・デメリットまとめ
仕事はやりがいが1番大切です。やりがいを感じると、多少給料が安くても、仕事が忙しくても続けたいと思えます(良し悪しは別として)。
ただ、人間関係だけはどうしようもないですね。「人の悩みは全て人間関係の悩み(アルフレッド・アドラー)」と言うくらい、人間関係が悪いとすべてのやる気がおきません。
人間関係に悩んだらメリット・デメリット、やりがいは1度脇に置いて、その保育園から逃げるのがベストです。以下を参考にして今の保育園を離れることも考えましょう。
保育業界にも保育園、幼稚園、支援センター、託児所、ベビーシッター、学童、児童館、乳児院、養護施設、幼児教室、病児保育などいろいろ働ける場所があります。
子供と触れ合うことが好きな人は、以下を参考にして保育経験や保育士資格を活かした仕事を続けてやりがいを見つけてください。
どうしてもメリットを感じない、やりがいが見いだせないという人は、以下を参考にして保育士以外の違う仕事に転職しましょう。