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本ページにはプロモーションが含まれます。もっと休みが欲しいと言う割に、勤めている保育園の年間休日数を知らない保育士は多いです。
年間休日を把握して実際に取れる休みとの違いを知らないと、「年間休日120日以上!」という求人に飛びついて「思ってたより休み少ない気がする……。」になりかねません。
- 保育園の年間休日は平均何日?他の職業より少ないのかな?
- 年間休日120日以上の保育士求人ってあるのかな?
- 休みが少ない保育園でもっと休みを取る方法ってない?
- 休みが取りやすい保育園ってどうやって探せばいいの?
年間休日が多い保育園で働くのは魅力的ですが、それだけでは不十分です。ベストな保育園は年間休日が多く、かつ休みが取りやすい保育園です。
たとえ年間休日が少ない保育園でも、休みを取りやすい方が満足度は高くなります。転職したい保育士は単純に年間休日数だけで保育園を選ぶと後悔するので、最後まで読んで参考にしてください。
保育士、幼稚園教諭、保育教諭歴20年以上。幼稚園、保育園、認定こども園など転職して述べ500人以上の園児を保育し、保護者の相談に答えてきました。両親・祖母が教師・保育士なので、保育士は多分天職です。
詳しいプロフィール
保育士と他業種の平均年間休日数の比較
休みが少ない方が良いという人はいないと思いますが、現実的に年間休日が何日あれば満足するか考えたことはありますか。
年間休日が多い例でよく言われるのは、年間休日120日以上です。なぜ年間休日120日以上は休みが多い例として使われるのかも合わせて解説します。
- 年間休日の基本的な数え方
- 日本の労働者の平均年間休日数は113.7日
- 保育園の平均年間休日数は105日前後
- 幼稚園の平均年間休日数は115日前後と予想
年間休日の基本的な数え方
まず1年は52週なので、仮に完全週休2日制だと休日は104日ほどです。さらに日本の祝日は元旦を除いて15日あり、年末年始休み5日、お盆休み3日なので、全部で127日になります。
ただし年末年始やお盆、ゴールデンウィークに土日の被りがあったり、祝日に土曜日の被りがあるので、調整すると110-120日が一般的な労働者の年間休日数です。
もちろん保育園は土曜出勤、休日出勤の場合もあるので、保育士に当てはまるわけではありません。
日本の労働者の平均年間休日数は113.7日
厚生労働省の「平成30年就労条件総合調査」によると、日本の労働者の平均年間休日数は113.7日です。また、従業員が1000人以上の企業の平均年間休日数は118.0日です。
つまり年間休日120日以上は、大企業のサラリーマンにとっても休日数が多いというイメージです。
保育園の平均年間休日数は105日前後
私立保育園は基本的に土曜保育を行うため、シフトで入る保育士も土曜出勤の必要があります。そのため、保育士の年間休日は一般企業より少ない傾向があります。
また認可外保育園は日曜祝日も開所する場合があるため、保育士の休みはより少ないイメージです。
平成29年度の福祉医療機構の調査によると、保育園の年間休日数の割合は以下のようになります。
年間休日数 | 割合 |
---|---|
96日未満 | 14.3% |
96日-101日未満 | 15.4% |
101日-106日未満 | 20.9% |
106日-111日未満 | 18.5% |
111日-116日未満 | 9.9% |
116日-121日未満 | 8.9% |
121日以上 | 12% |
これを見る限り、保育士の年間休日は平均105日前後と考えられます。わたしが過去に勤めたり、見てきた保育園も年間休日数はだいたいそれくらいですね。
というわけで、保育士の年間休日105日と労働者の年間休日113.7日と比べると、やっぱり保育士の休みは少ないということがわかります。
ちなみに企業規模関係なく業種別の平均年間休日数を比べると、情報通信業や学術研究、専門・技術サービス業の休日数が多いですね。それでも年間休日120日には届きません。
情報通信業|118.8日
学術研究、専門・技術サービス業|118.8日
金融業・保険業|118.4日
電気・ガス・熱供給・水道業|116.8日
教育・学習支援業|112.7日
製造業|111.4日
複合サービス事業|110.4日
不動産業・物品賃貸業|109.6日
医療・福祉|109.4日
サービス業(他に分類されないもの) |109.0日
卸売業・小売業|105.7日
生活関連サービス業・娯楽業|104.6日
建設業|104.0日
鉱業・採石業・砂利採取業|103.8日
運輸業・郵便業|100.3日
宿泊業・飲食サービス業|97.1日
幼稚園の平均年間休日数は115日前後と予想
幼稚園の年間休日は平均がわかるデータがないため個人の経験からお話すると、保育園の年間休日数より多くなります。年間休日は平均115日前後と予想します。
幼稚園は保育園と違って、夏休み、冬休み、春休みがあります。小学校と同じようなイメージですね。そのような長期休みの間は、預かり保育を除いて子供が登園することはありません。
そのため幼稚園教諭も多少の長期休暇を取ることができます。と言っても園児と同じ休みではありません。幼稚園教諭は、園児の夏休み、冬休み、春休みに以下の仕事をこなします。
- 期初の準備と期末の締め仕事
- 当番制で行う預かり保育や日直
- 溜まった書類などの事務仕事
- 休み明けに行う行事の準備
- 内部研修と外部研修
夏休みはお盆時期に1週間前後(ずらして夏休みを取ることも多い)、冬休みは年末年始に5-7日ほど、春休みは3日前後が目安ですね。これらを踏まえた、幼稚園の年間休日数が115日前後です。
保育園で年間休日に含まれる休暇制度
休暇制度の考え方は保育園も幼稚園も同じ。休暇制度を把握して、年間休日を正しく理解しましょう。
- 年間休日120日に含めて良い休暇
- 年間休日120日に含めちゃダメな休暇
年間休日120日に含めて良い休暇
一般的に求人票などで年間休日数を書く場合は、次の休暇、休暇制度が含まれます。
完全週休2日制+祝日休み
年間休日が120日以上になるには、完全週休2日と祝日休みが入ってないとほぼ達成できません(完全週休2日=完全土日休みじゃありません)。
ただし土日休みでも月一回土曜出勤という保育園もあるので、その場合は12日ほど休みが少なくなります。それで年間休日120日以上を実現するには、他に大きな休暇制度が必要です。
季節休暇(主に夏季休暇)
夏季休暇がある保育園は多いですね。夏季休暇はお盆の3日ほどですが、お盆も運営する保育園ではバラバラに夏季休暇を取ります。年度末に3日前後の春季休暇がある保育園もあります。
年末年始休暇(冬期休暇とも言う)
院内保育所以外は、年末年始休暇を設けている保育園が多いと思います。通常は年末2-3日と年始の三賀日合わせて、5-6日が休みの場合が多いです。
リフレッシュ休暇
保育士の待遇改善のために、リフレッシュ休暇を設ける保育園も増えてきました。リフレッシュ休暇は、勤続3・5・10年などの節目に3日前後休暇が与えられます。
リフレッシュ休暇は有給休暇扱いが多いため、リフレッシュ休暇を設けている保育園は、通常の有給休暇も取りやすい良い環境が多いと思います。
バースデー休暇
若い保育士に人気なのがバースデー休暇です。1年に1回の誕生日や近い日を休みにする制度です。こちらも一般的には有給扱いが多いです。1年に1日ですが、バースデー休暇がある保育園は魅力的に感じます。
年間休日120日に含めちゃダメな休暇
年間休日120日以上をアピールしておいて、その中に以下の休暇制度が含まれてると「ちょっとずるくない?」というもの(通常はありえませんが)。
年次有給休暇
年次で与えられる有給休暇は法定休暇で、一般的に年間休日の中に含みません。有給休暇を年間休日に含める保育園は、ちょっとやばいです……。
産休・育休
産休・育休は子供を出産・育児する母親は、取らなければいけない法定休暇です。さすがに年間休日に含める保育園はないと思いますが、産休・育休取得に気を使う保育園は計画的に辞めましょう。
慶弔休暇(けいちょうきゅうか)
慶弔休暇とは、自分や親族の結婚式、お葬式のときに取る法定外休暇の一つです。就業規則に定められていれば有給になりますが、そうじゃなければ年次有給を消化するか、無休欠勤になるかです。
通常は「父・母」「兄弟」など労働者との関係性によって、就業規則に休日数が決められています。
子の看護休暇
子の看護休暇とは、小学校就学前の子供が病気やケガのときに年間5日まで取れる無給休暇のことで、法定休暇になります。また、介護休暇や生理休暇も同様で法定休暇です。
労働者にとって年間休日はとても大切です。ただこの年間休日に含まれない年次有給休暇、産休・育休、看護休暇などが取りづらい保育園で働くと、休みが少ないと感じるでしょう。
とくによく話題に上がる有給休暇の取りやすさを理解することが、保育士の休みの満足度に直結すると言っても過言ではありません。
保育士が有給休暇を消化する平均日数は?
- 有給休暇の基礎知識
- 保育業界の有給消化日数
有給休暇の基礎知識
有給休暇は、保育園や経営者が日数を決めるものではありません。6か月継続勤務すると以下の有給休暇が付与され、その後も決まった日数以上の有給休暇が付与されます。
- 勤続6か月で有給休暇数を10日付与
- 勤続1.5年で有給休暇数を11日付与
- 勤続2.5年で有給休暇数を12日付与
- 勤続3.5年で有給休暇数を14日付与
- 勤続4.5年で有給休暇数を16日付与
- 勤続5.5年で有給休暇数を18日付与
- 勤続6.5年で有給休暇数を20日付与
有給休暇を含めて年間休日120日以上とする保育士求人があるとしたら、実際の休日数は110日以下になってしまいます。さすがにそんな求人はないとは思います。
保育業界の有給消化日数
保育士はどれくらい有給休暇を消化できているんでしょうか。2016年データによると、私立保育園の有給消化日数は10-15日が30%、7-9日が27%、3-6日が24%……全体の半分ほどの消化率ですね。
日数 | 2日以内 | 3-6日 | 7-9日 | 10-15日 | 16-20日 | 21日以上 | 無回答 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
全体 | 2.9% | 31.3% | 28.8% | 25.3% | 6.8% | 1.4% | 3.5% |
公設公営 | 3.2% | 40.7% | 31.5% | 17.9% | 3.1% | 0.7% | 2.9% |
公設民営 | 3.1% | 30.8% | 22.5% | 31.3% | 7.5% | 1.8% | 3.1% |
民設民営 | 2.6% | 23.9% | 27.2% | 30.7% | 9.6% | 1.9% | 1.0% |
現在は年10日以上有給休暇が付与された場合、5日以上の有給消化が義務化されたので、有給消化率は上がっているはずです。つまり、保育士もこれまでより有給消化しやすくなっています。
有給消化しやすい保育園・有給消化しにくい保育園には特徴があります。「有給取りたいのに取れない……。」と悩んでいる保育士は以下を参考にしてください。
休みが取りやすい保育園>年間休日が多い保育園
保育士の平均年間休日数が105日だとすると、年間休日120日以上の保育園は魅力的です。ただし、年間休日が多い保育園が働きやすいとは限りません。
年間休日120日以上でもいざというときに休めない、残業が多い、有給消化率が悪い、育休が取りにくい、有給が消化しにくい保育園だと嫌ですよね。
まずは、働いている保育園や転職したい保育園の年間休日が何日か把握しましょう。さらにどんな休暇制度があるか、休暇が取りやすいかを確認しましょう。
- 保育園の年間休日に含む休みと含まない休み
- 保育園にどんな休暇制度があるのか
- その保育園が有給などを取りやすいのか
これらを合わせて考えないと、年間休日が120日以上でも後から働き方に不満が残ります。また、休みが取りやすい保育園には以下の特徴があります。
- 大きな行事が少ない
- 無駄な会議などがない
- 事務員がいて雑務を担当している
- 保育士が十分に足りている
- 休日出勤の文化がない
- 保育士が助け合う体制ができている
- 保育士のシフト変更がスムーズ
- サービス残業がない
- 持ち帰り仕事は禁止
- ICT導入で手間を省いている
これら全てが必要なわけではありませんが、保育士が働きやすい環境を作ろうとしている保育園にはこれらの特徴が揃っています。
休みが取りやすい保育園、保育士求人の探し方
保育士求人を見るときは、保育園の休暇制度を確認してください。とくに年次有給休暇以外に有給扱いの休暇制度がある保育園は、年次有給休暇も取りやすい傾向があります。
たとえば保育士バンクで「年間休日120日」を検索すると、796件の求人が見つかります。ただし年間休日だけで転職先を決めると後悔するので、先程話した以下の要素も踏まえて求人を検討します。
- 保育園の年間休日に含む休みと含まない休み
- 保育園にどんな休暇制度があるのか
- その保育園が有給などを取りやすいのか
休みを取りやすい保育園を探すには、保育園の内情を知る必要があります。ただ「御園は有給など休みが取りやすいですか?」とは聞けないので、転職エージェントに調べてもらいましょう。
転職エージェントを利用すれば転職でもっとも大切な情報収集を任せられますし、求人探し、転職先との連絡、条件交渉などの手間や時間を削減できます。
選び方がわからない人は、わたしが使っていたマイナビ保育士と保育士バンクを使ってみてください。公開求人数、拠点数、評価は以下の通りです。
サイト名 | 公開求人 | 拠点数※ | 転職フェア | 担当者 | サポート | 口コミ |
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マイナビ保育士 | 20,060件 | 12拠点 | ○ | 4.8 | 4.7 | 4.8 |
保育士バンク | 17,677件 | 8拠点 | ◎ | 4.7 | 4.8 | 4.8 |
拠点数はサービス全体、またはグループ全体のものです。
上記は2022年3月時点のサイト内調査による数値、または予測数です。
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転職活動には基本的に転職エージェントを使いますが、転職サイトにも登録してください。ジョブメドレー保育士は以下の理由で登録しておくと便利です。
- 転職エージェントより求人数が多いため求人比較に便利
- 担当者からの電話連絡がないのでマイペースで活動できる
- スカウトメール機能で保育園からのスカウトが期待できる
それぞれのサービスの特徴は以下でまとめたので、転職を考えている人は参考にしてください。
最近は年間休日が多く、有給消化しやすい保育園・幼稚園も増えています。保育士のモチベーションや健康は働き方でコントロールできます。
そのため転職するなら保育園の年間休日だけで判断しないで、休暇制度の種類や休みの取りやすさもよく調べてから転職先を決めるようにしましょう。