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本ページにはプロモーションが含まれます。企業内保育所を設置している企業は「従業員の子育て支援をする良い会社」のイメージがありますね。わたしも企業内保育所は保育士におすすめの転職先だと思います。
ただし、企業内保育所ならどんな求人でも良いわけではありません。とくに若い保育士は、企業内保育所の選び方を間違えるとキャリアアップや給料に悪い影響があります。
- 企業内保育所って普通の保育園と違う?仕事内容は?
- 企業内保育所の給料は高い?働くメリットって何?
- 企業内保育所で働くなら、やっぱり大手企業がいい?
- 企業内保育所求人の正しい選び方を教えて欲しい!
企業内保育所に興味がある人、働いてみたいけど待遇が心配な人はこの記事を最後まで読んでください。
企業内保育所の仕事内容やメリット・デメリット、給料や待遇面、後悔しない企業内保育所求人の選び方を徹底的に解説します。
保育士、幼稚園教諭、保育教諭歴20年以上。幼稚園、保育園、認定こども園など転職して述べ500人以上の園児を保育し、保護者の相談に答えてきました。両親・祖母が教師・保育士なので、保育士は多分天職です。
詳しいプロフィール
企業内保育所(事業所内保育所)の特徴
- 企業内保育所の特長と概要
- 企業内保育所の種類
- 現在の企業内保育所の位置付け
- 企業内保育所の仕事内容
企業内保育所の特長と概要
企業内保育所とは、主に設置している企業の従業員の子供を預かる保育園のことです。
企業内保育所(院内保育含む事業所内保育施設)は、平成30年3月-平成31年3月の1年で1786施設から3402施設(前年比+1616施設)に増えています。
これだけ企業内保育所が増えた理由は、企業内保育所が子育てと仕事を両立したい人材の確保、人材流出を防ぐ手段になっているからです。また、企業主導型保育事業に助成金が出ることも要因です。
企業内保育所の種類
企業内保育所は「事業所内保育所(認可保育所)」「企業主導型保育所」「認可外保育所」「託児スペース」に分かれます。違いを知っておきましょう。
事業所内保育所(認可保育所)
企業内保育所が増えた理由の1つに、自治体の認可を受けることで認可保育所を設立できることが挙げられます。これを事業所内保育所(認可保育所)と言います。
企業主導型保育所
認可園の基準を満たしていなくても、企業の従業員の子供+周辺地域の子供を預かる地域開放型の企業内保育所なら企業主導型保育所事業の対象になります。
事業所内保育所は認可園として自治体の補助金、企業主導型保育所は認可外園ですが国の補助金をもらえるため、どちらかの企業内保育所を設置する大手企業は増えています。
認可外保育所と託児スペース
事業所内保育所、企業主導型保育所に該当しない企業内保育所は、児童福祉法に基づく認可外保育所または乳幼児を一時預かりする託児所の扱いです。
そのため企業内保育所を企業内託児所と呼ぶ人もいます。
現在の企業内保育所の位置付け
後で説明しますが、役職にキャリアアップをしたい保育士は認可園で一定年数の保育経験が必要です。そのため、認可園の企業内保育所を選びましょう。
企業内保育所は一時預かりの託児所に近いものでしたが、近年は利用者の要望に応えるために自治体の認可を受けたり、地域開放型要件を満たすなど一般保育園の運営形態に近づいています。
そのため単純に子供を預かる一時預かりの人材より、保育士資格・能力を持った企業内保育士の需要が増しています。
企業内保育所の仕事内容
企業内保育所の仕事内容は、授乳や離乳食、給食などの食事、おむつ替えや着替えなど身の回りのお世話、お昼寝などの生活習慣、遊びなど保育園で働く保育士と同じです。
ただし企業内や近隣ビルの設置が多いため保育スペースは狭く、園庭がないなど小規模が一般的です。また0-2歳対象が主で、3歳以上がいる場合は異年齢保育を実施することが多いです。
企業内保育所の開園時間は、企業の始業・終業時間に合わせるためバラバラです。そのため、開園時間によって保育士の出勤時間やシフトなども変わります。
保育士が企業内保育所で働くデメリット
- 企業のルールで仕事や稼働時間が変わる
- キャリアアップの保育経験年数に加算されない
- 保育環境・設備が十分じゃない場合もある
- 企業業績次第で企業内保育所が閉鎖される
- パート保育士から正規保育士になりにくい
企業のルールで仕事や稼働時間が変わる
企業内保育所は主に従業員の子供を預かる施設なので、企業ルールに合わせて運営されます。
たとえば保育以外で提出する書類があったり、集会に出席する必要があったり、企業の勤務時間に合わせて早朝・深夜シフトなど勤務時間が変則的になる場合もあります。
キャリアアップの保育経験年数に加算されないかも
保育士が主任保育士など役職にキャリアアップするには、保育士キャリアアップ研修を受けて、さらに3年or7年の認可保育園での乳児保育と幼児教育の実地経験が必要です。
ただ企業内保育所が認可外保育園の場合は、キャリアアップに必要な実地経験を積めません。保育士のキャリアアップ制度の詳細は以下を参考にしてください。
保育環境・設備が十分じゃない場合もある
企業内保育所が小規模だったり、託児所に近い場合は、保育環境や設備が十分でない可能性があります。
しかも保育に必要なものの購入も企業の予算に左右されたり、企業のやり方で書類申請などをする必要があります。
企業業績次第で企業内保育所が閉鎖される
企業内保育所は従業員の福利厚生施設の意味が強く、企業業績が悪いと閉鎖される可能性もあります。変化が激しい業界の企業内保育所だと、4-5年先がどうなるかわかりません。
ただし事業所内保育所や企業主導型保育所は従業員以外の地域の子供も受け入れているので、経営は企業から独立して比較的安定しています。
パート保育士から正規保育士になりにくい
企業内保育所は企業の業績に影響を受けるので、閉鎖リスクがあります。そのため、パート保育士・契約保育士で働き始めると正社員になりにくいデメリットがあります。
企業内保育所ではパート保育士から正社員登用を狙うより、初めから正社員を目指す方が良いですね。そういう意味では、保育士経験者にはメリットがある転職先です。
保育士が企業内保育所で働くメリット
企業内保育所は給料が高い、待遇が良いと言われていますが、どこまでほんとなのでしょうか。
- 企業内保育所は給料が比較的高い
- 大手企業の企業内保育所は待遇が良い
- 企業に合わせた土日祝日休みが多い
- サービス残業や持ち帰り仕事が少ない
- 保育士資格保有者は優遇されやすい
- 新しくてきれいな新設保育園が多い
- 新しい保育設備やICTの仕組みが整っている
- 通勤に便利な場所にあることが多い
- 子供一人ひとりの成長に向き合える
企業内保育所は給料が比較的高い
企業内保育所の月給は新卒で20万円以上、保育士経験者は25万円以上が期待できます。
企業内保育所は新設が多く保育士需要も高いため、給料や休暇で求人に差をつける企業内保育所が増えています。以下保育士バンクで調べた求人です。
企業内保育所A | 企業内保育所B | 企業内保育所C |
---|---|---|
愛知県 | 静岡県 | 東京都 |
月給205000円~(4年制大学新卒の場合) | 月給178000円~ | 月給220000円~大卒1年目 |
※経験や評価により決定 | ||
昇給年1回 | 昇給年1回 | 昇給年1回 |
賞与年2回 | 賞与年2回 | 賞与500000円~/年間(年間2.6カ月) |
通勤交通費支給 月上限28000円 | 通勤手当 上限20000円/月 | 通勤手当 50000円/月まで |
住宅手当 20000円/月まで | ||
時間外手当 全額支給 | ||
帰省手当 20000円/(年間) |
企業内保育所C(東京)は大手企業ですが、大卒で月給22万円以上、基本給19.2万円以上、ボーナス50万円以上と給料が高く手当も豊富です。
企業内保育所の平均的な給料は一般保育園より月給で2-3万円上くらい。たまに保育士経験3年以上25万円~などの求人があるので、見逃さないようにしたいですね。
企業内保育所A・Bは給料が低めですが、愛知県と静岡県なので東京と比較すると差があります。求人票だけだと情報が薄いので、必ず詳細は調べてください。
大手企業の企業内保育所は待遇が良い
企業内保育所は、大手企業や複数の企業が協力して設置することが多いです。企業規模に合わせた運営になるため、大手企業ほど手当や福利厚生などの待遇面が充実しています。
誰でも知っているトヨタ、ホンダ、武田薬品、資生堂、味の素、リクルート、花王、富士通など多くの大手企業が企業内保育所を設置しています。
また、運営事業者に委託した企業内保育所で働くと運営事業者の従業員になりますが、その場合も一般の私立保育園より福利厚生が充実していることが多いです。
企業に合わせた土日祝日休みが多い
一般的な企業は土日祝日が休みですね。企業内保育所は従業員の子供を預かることが主目的なので、企業内保育士も企業の休みに合わせます。
土日出勤の保育園もありますが、土日祝日休みでの生活が良いなら企業の年間休日も調べましょう。こちらも大手企業の方が休日が多く、休みも取りやすい傾向があります。
サービス残業や持ち帰り仕事が少ない
企業内保育所を設置する企業は、労働時間を厳守する傾向があります。そのためサービス残業もなく、居残り残業も少ないです。
また小規模保育メインなので大きな行事もありません。行事・行事の準備がないので、持ち帰り仕事も発生しにくいです。保育士の持ち帰りの実態を知りたい人は以下を参考にしてください。
保育士資格保有者は優遇されやすい
保育士資格を持っていると優遇される企業内保育所も多いです。企業内保育所でキャリアアップをしたい人は、保育士資格を持っていて保育経験がある人が対象の場合が多いですね。
新しくてきれいな新設保育園が多い
企業内保育所は新設が多いため、きれいな施設が多いですね。これから企業内保育所を設置する企業も多いため、オープニング求人需要も高いです。
企業内保育所の新設と通常の保育園の新設は少し違いますが、似ているメリットは多いです。新設のオープニングスタッフ求人のメリットは、以下を参考にしてください。
新しい保育設備やICTの仕組みが整っている
保育士の仕事が楽になるPCやタブレットなどの設備やICT(情報や知識を伝達・共有する技術)が取り入れられている企業内保育所も増えています。
企業内保育所に新しく便利な設備が整っていると、仕事を効率化したい企業側の意識が伝わるので保育士もモチベーションが上がります。
子供の発熱で親に連絡がつきやすい
保育園の困り事の1つが、子供の発熱で保護者に連絡が取れないことです。企業内保育所は保護者が近くにいるので、連絡が取りやすいですし、すぐ迎えに来てもらえます。
またすぐには連絡がつかなくても保護者の居場所はわかるため、緊急時も対応しやすいです。
通勤に便利な場所にあることが多い
企業内保育所を設置する企業はある程度従業員を抱えているので、駅前のオフィス街や車で通える郊外が多く通勤が便利です。
子供一人ひとりの成長に向き合える
企業内保育所は一般保育園より残業が少なく、保育士に業務負担がかからないため、子供一人ひとりと向き合う保育がしやすいです。
また、子供を預ける保護者は同じ企業の同僚ばかりなので、体裁を気にして保護者の理不尽なクレームも少ない傾向があります。
魅力的な企業内保育所求人の選び方とポイント
企業内保育所のメリットを知って、働いてみたいと思った人は多いでしょう。とくに大手企業の企業内保育所は魅力的で、以下のメリットが揃った職場が多いですね。
- 給料やボーナスが高めで手当も多い
- 福利厚生など待遇が充実している
- 土日祝日休みが多く残業も少ない
- 新しい保育設備やICTが整っている
企業内保育所は給料や待遇面のメリットが多く人気がある保育園ですが、企業業績に左右されるため、良い待遇で長く安定的に働きたい人は求人の選び方を押さえましょう。
- 事業所内保育所or企業主導型保育所を選ぶ
- 有名な大手企業の企業内保育所を選ぶ
- 都市圏の企業内保育士求人がメイン
- パート保育士より初めから正社員を考える
- 高待遇を求めるなら非公開求人が良い
事業所内保育所or企業主導型保育所を選ぶ
企業内保育所は認可園の事業所内保育所、または国の補助を受けている企業主導型保育所が良いですね。
この2つは、保育士の配置基準など一定の設置基準を満たした企業内保育所です。そのため企業側も保育施設を設置している意識が強く、保育設備も整っています。
有名な大手企業の企業内保育所を選ぶ
事業所内保育所or企業主導型保育所ではなくても、企業内保育所を設置する企業は基本的に経営状態が良く、福利厚生も充実しているので人気があります。
働くなら昔からある大手企業の企業内保育所がベターです。名前を知られていない大手企業・優良企業もあるので、転職エージェントに判断してもらいましょう。
もちろん大手企業の企業内保育所は給料などの待遇が良い職場なので辞める人は少ないですし、新設の企業内保育所は募集が殺到するので競争率は高くなります。
都市圏の企業内保育士求人がメイン
企業内保育所を設置する企業は東京など都市圏が多いので、求人も東京がメインです。そのため、東京で働きたい人はどんどん企業内保育所求人を探してください。
一方、地方の企業内保育所は求人が少なく、場所も郊外が多いため交通手段が限られます。保育士求人が少ない地域では企業内保育所をメインに考えず、定期的に求人をチェックしましょう。
パート保育士より初めから正社員を考える
企業内保育所ではパートから正社員になるのは難しいので、今後も長く保育業界で働きたい人は、初めから正社員雇用が良いと思います。
パート保育士を希望する人は面接などで正社員になれる条件、過去の正社員登用実績なども聞いておきましょう。聞きにくければ、転職エージェントに聞いてもらえば良いですよ。
高待遇を求めるなら非公開求人が良い
大手企業が企業内保育所を新設する場合は、非公開求人が多いですね。とくに株価に影響がある上場企業が企業内保育所を新設する場合はほぼ非公開です。
そのため転職エージェントに非公開求人を紹介してもらう方が、給料などの待遇面や働きやすさでも、より良い企業内保育所求人が見つかります。
転職エージェントに企業内保育所求人を紹介してもらう方法
給料や待遇などの条件が良い企業内保育所求人を紹介してもらうために、以下の条件を転職エージェントの担当者に伝えてください。
- 事業所内保育所or企業主導型保育所の求人
- なるべく有名な大手企業の企業内保育所求人
- 大手ではなくても評判が良い企業内保育所求人
転職エージェントを利用すれば転職でもっとも大切な情報収集を任せられますし、求人探し、転職先との連絡、条件交渉などの手間や時間を削減できます。
転職エージェントの選び方がわからない人は、わたしが使っていたマイナビ保育士と保育士バンクを使ってみてください。公開求人数、拠点数、評価は以下の通りです。
サイト名 | 公開求人 | 拠点数※ | 転職フェア | 担当者 | サポート | 口コミ |
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マイナビ保育士 | 20,060件 | 12拠点 | ○ | 4.8 | 4.7 | 4.8 |
保育士バンク | 17,677件 | 8拠点 | ◎ | 4.7 | 4.8 | 4.8 |
拠点数はサービス全体、またはグループ全体のものです。
上記は2022年3月時点のサイト内調査による数値、または予測数です。
マイナビ保育士は求人数が多く、保育園情報を網羅していることが特徴です。マイナビグループなので実績も豊富で、履歴書・面接対策、面接同行などサポートも手厚いですね。
保育士バンクは担当者に元保育士が多く相談しやすいことが特徴です。またWEB面接や転職フェアなどサポートの質が高く、非公開求人も多くて使いやすいです。
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マイナビ保育士[公式]
全国的に求人が多く、とくに関東の転職に必須!保育園情報を網羅していてサポートも◎
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保育士バンク[公式]
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転職活動には基本的に転職エージェントを使いますが、転職サイトにも登録してください。ジョブメドレー保育士は以下の理由で登録しておくと便利です。
- 転職エージェントより求人数が多いため求人比較に便利
- 担当者からの電話連絡がないのでマイペースで活動できる
- スカウトメール機能で保育園からのスカウトが期待できる
それぞれのサービスの特徴は以下でまとめたので、転職を考えている人は参考にしてください。
大手企業の企業内保育所求人はなかなか空きが出ません。ただ世の中にはたくさんの企業内保育所があり、そこで働いている保育士がいます。
そのため良い企業内保育所で働きたい人は、時間をかけて企業内保育所求人を探してもらいましょう。計画的に転職活動をした方が、理想の保育園で働ける可能性は高くなりますよ。