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「え?有給?この忙しいときに?どんな理由?」こんな言い方をされたら、誰も有給は取れません。
また、有給明けの同僚の視線が痛かったり、先輩保育士から「ゆっくり休んだんだから気合い入れてよね。」なんて言われたら、次から有給消化しづらいですよね。

でも最近は、保育士の働く環境が少しずつ良くなっています。もしかしたら、周囲で有給消化できないのは、あなたが勤めている保育園だけかもしれません。
- 保育士の有給休暇って何日もらえるの?
- どうしたら有給消化できるのかな……。
- 有給消化しやすい保育園を探したい!
という人のために、保育士が有給消化するためのポイント、有給消化しやすい保育園の特徴について解説します。この記事を参考にして、これまでより有給消化しやすい環境を作りましょう。
保育士歴20年以上。幼稚園、保育園、こども園など転職して、述べ500人以上の園児を保育し、ママ・パパの相談に答えてきました。両親・祖母が教師・保育士なので、保育士は多分天職です。
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保育士は有給消化できないのが当たり前?
「保育士は忙しいから有給消化できない!」「保育士なんだから有給休暇を我慢するのは当たり前!」
そんな考えの保育士は、保育園や社会に洗脳されています。有給休暇が取りやすい保育園は増えてますし、有給休暇の義務化によって以前より有給は消化しやすくなっています。
今は保育士不足なので、保育園は待遇や働く環境を見直して保育士を確保したい状況です。昔ながらの感覚で運営している保育園は、確実に淘汰されます。
では、有給消化しやすい保育園とはどんな保育園なんでしょうか。ポイントは以下の3つです。
- 仕事が忙しすぎない保育園
- 業務を効率化している保育園
- 保育士の待遇を重視している保育園
これらを具体的に解説していきますが、その前に有給休暇の仕組みをちゃんと理解してますか。有給休暇の仕組みを理解しないと話が前に進みません。
有給休暇を理解している人は「保育士がスムーズに有給消化するためのポイント」に飛んでください。
有給休暇の日数や仕組みを知らないと話にならない

有給休暇は労働基準法で定められた制度で、労働者に対して1年ごとに一定の休暇を与えるものです。保育士だから何日など、職業による違いはありません。
有給休暇は、勤務開始から「6か月以上の継続勤務」と「出勤日数が全労働日の8割以上」という条件で与えられるもので、パート保育士やアルバイトも同様です。
- 正規保育士の有給休暇日数は何日か
- パート・アルバイトの有給休暇日数は何日か
- 有給休暇の消化は義務化されている
- 有給休暇の繰り越し有効期限は2年間
- 保育士は平均何日有給休暇を消化しているか
正規保育士の有給休暇日数は何日か
一般的に、勤続6か月を超えると10日間の有給休暇が付与されます。その後は1年毎に増えて、6.5年以上は毎年20日間の有給休暇が付与されます。
- 勤続6か月で有給休暇数を10日付与
- 勤続1.5年で有給休暇数を11日付与
- 勤続2.5年で有給休暇数を12日付与
- 勤続3.5年で有給休暇数を14日付与
- 勤続4.5年で有給休暇数を16日付与
- 勤続5.5年で有給休暇数を18日付与
- 勤続6.5年で有給休暇数を20日付与
パート・アルバイトの有給休暇日数は何日か
パート・アルバイト保育士も週の所定労働日数が5日を超えれば、正社員と同様の有給日数が付与されます。ただし所定労働日数で有給休暇日数が変わります。以下は目安です。
所定労働日数 | 年間労働日数 | 勤続6か月 | 1.5年 | 2.5年 | 3.5年 | 4.5年 | 5.5年 | 6.5年以上 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
週4日 | 169日-216日 | 7日付与 | 8日付与 | 9日付与 | 10日付与 | 12日付与 | 13日付与 | 15日付与 |
週3日 | 121日-168日 | 5日付与 | 6日付与 | 6日付与 | 8日付与 | 9日付与 | 10日付与 | 11日付与 |
週2日 | 73日-120日 | 3日付与 | 4日付与 | 4日付与 | 5日付与 | 6日付与 | 6日付与 | 7日付与 |
週1日 | 48日-72日 | 1日付与 | 2日付与 | 2日付与 | 2日付与 | 3日付与 | 3日付与 | 3日付与 |
有給休暇の消化は義務化されている
有給休暇の消化は、「働き方改革関連法案」で義務化されました。10日以上の有給休暇が付与される労働者は、年間5日以上有給消化しないと法人に30万円以下の罰金が課されます。
もちろん「有給取りづらい……。」という保育園でも法律に従わないといけないので、保育園側から「○○さん、有給消化してね。」などの声掛けが必要なんです。
有給休暇の繰り越し有効期限は2年間
有給休暇は、前年に使わなかった日数は繰り越されます。たとえば1年目で5日間有給休暇を使わなければ、残り5日が繰り越されて翌年の有給休暇は5日+11日=16日になります。
有給休暇は古い分から消化されますが、付与された有給休暇の繰り越し有効期限は2年間です。期限が切れると、有給休暇は消滅してしまいます。
保育士平均何日有給休暇を消化しているか
「全国保育協議会会員の実態調査報告書2016」によると、保育士の有給消化率は以下の通り。勤続年数がわからないので正確な有給消化率はわかりませんが、平均7-9日は消化されているようですね。
日数 | 2日以内 | 3-6日 | 7-9日 | 10-15日 | 16-20日 | 21日以上 | 無回答 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
全体 | 2.9% | 31.3% | 28.8% | 25.3% | 6.8% | 1.4% | 3.5% |
公設公営 | 3.2% | 40.7% | 31.5% | 17.9% | 3.1% | 0.7% | 2.9% |
公設民営 | 3.1% | 30.8% | 22.5% | 31.3% | 7.5% | 1.8% | 3.1% |
民設民営 | 2.6% | 23.9% | 27.2% | 30.7% | 9.6% | 1.9% | 1.0% |
2016年時点で有給消化日数が5日未満の保育士は2-3割もいるので、有給消化が義務化したことで有給消化率はより改善しているはずです。

保育士がスムーズに有給消化するためのポイント


保育士が有給休暇を消化しやすくするには、まず取得時期の工夫が必要です。
有給休暇は年5日以上の消化が義務付けられたので、以下のように園長から保育士に対して、有給消化希望時期を聞くのが一般的です(になればいいなぁ)。
年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説2019年4月施行 - 厚生労働省
就業規則で有給申請の方法は確認した方が良いですが、基本的には好きなように有給休暇が取れます(だといいなぁ)。ただし、有給休暇の消化タイミングはある程度考慮しましょう。


例外を除いて、法律的にはいつ有給休暇を取っても良いんですが、法律では同僚の気持ちはコントロールできません。そこは法律関係なく気をつける部分です。ポイントは5つ。
- 時季変更権があることを知っておく
- 年度末・行事前の有給消化は控える
- 感染症時期の私的な有給消化は控える
- 1か月に1度有給消化できる日を考える
- 保育園に有給休暇の計画的付与を提案するる
時季変更権があることを知っておく
会社(保育園)には有給申請で業務に支障が出るときに、取得日を変更させる時季変更権があります。
有給消化を却下された理由が仕事上仕方ないなら、スケジュールのすり合わせが必要です。感情で却下されたと感じたら、いつなら有給が取れるか聞いてください。
年度末・行事前の有給消化は控える
保育士が忙しい年度末は、とくに卒園児担当の先生は毎日テンパってます。そんな中で、同僚を助けるより有給消化すると嫌われます。年度末の行事準備前に有給を消化する保育士は多いですね。
また運動会や発表会など、大きな行事前も避けた方が良いと思います。どうしても休みたいときは、ある程度事前に「ほんとにごめんね。」など話しておくことが大切です。
感染症時期の私的な有給消化は控える
インフルエンザや嘔吐下痢が流行る11月-2月は、私的な有給申請は控えた方が良いです。どちらにしても自分や家族が病気にかかることもあるので、見越して有給休暇は何日か残しておきましょう。
1か月に1度有給消化できる日を考える
有給休暇は、「予定なく」「突然」「一気に」「長期間」取るから現場が混乱するんです。月に1-2日消化するイメージで、行事や他の保育士と調整するとうまく消化できます。
保育士が有給消化しやすい環境を作るのは保育園ですが、本気で有給消化したいならシフト切り替え時期や1か月に1度有給消化できる日を考えてください。
保育園に有給休暇の計画的付与を提案する
有給休暇を取りにくい保育園には、有給休暇の計画的付与を提案してください。計画的付与とは、保育士の有給休暇を保育園全体で管理する方法のことです。
有給消化が義務化されたことで、保育園は無理やりにでも保育士に有給を消化させないといけません。ただし、忙しい時期に一斉に有給を取られたり、何日もまとめて取られると困りますね。
そのため、保育園側で積極的に有給消化させつつ、計画的に有給消化させることで保育園運営に支障をきたさないようにコントロールすることが目的です。
これまで有給消化しにくかった保育園なら、有給休暇の計画的付与は保育士とWin-Winの提案ですね。


有給消化しやすい保育園の特徴と探し方

有給消化しやすい保育園は忙しすぎない保育園、業務を効率化している保育園、保育士の待遇を重視している保育園です。具体的にどんな保育園か、どうすれば見つかるのか説明します。
- 小規模保育園、企業内保育所、院内保育所
- 多くの保育園を管理する運営法人
- 保育士の配置基準を十分に上回っている保育園
- 保育士転職サイトがおすすめする保育園
小規模保育園、企業内保育所、院内保育所
保育士が忙しい原因の1つは行事が多いことです。小規模保育園、企業内保育所、院内保育所は基本的に大きな行事はないので、残業も少なく有給消化しやすいです。
小規模保育園、企業内保育所、院内保育所はそれぞれ特徴と選び方があるので、興味がある人は以下をしっかり読んで参考にしてください。
多くの保育園を管理する運営法人
保育士が忙しい原因の1つは業務が効率化されてないことです。多くの保育園を運営する運営法人は業務効率重視なので、タブレットを使ったICTなどで効率化されてる場合が多いですね。
運営法人とは小学館集英社プロダクション、ポピンズ、HITOWAキッズライフ、ライクアカデミーなどのことです。また別途まとめます。
保育士の配置基準を十分に上回っている保育園
保育士が忙しい原因の1つは保育士が足りないことです。保育士の配置基準を十分に上回っている保育園は有休を消化しやすいです。認可外保育園でも配置基準を上回っている保育園を選びましょう。
子供の年齢 | 子供の数 | 保育士の数 |
---|---|---|
0歳児 | 3人 | 1人 |
1-2歳児 | 6人 | 1人 |
3歳児 | 20人 | 1人 |
4歳以上児 | 30人 | 1人 |
保育士転職サイトがおすすめする保育園
上記の基準以外で有給消化しやすい保育園を探したい人は、保育士転職サイトに「有給消化しやすい保育園」という条件で求人を探してもらいましょう。
たとえば、保育士バンクで「有給消化しやすい保育園」とアピールしている求人を検索すると、全国で6750件見つかります(2020年3月)。
保育施設は全国で35000箇所ほどありますが、保育士バンクだけで6000件以上の有給消化しやすい求人があることを知ると、今の保育園で働いているのが馬鹿らしく感じますね。

有給消化しやすい保育園は簡単に見つかる!
地方の昔ながらの保育園はなかなか待遇を変えませんし、一部のブラック保育園は有給消化自体期待できません。そのため、今も有給消化できなくて悩む保育士は多いと思います。
有給消化できない保育園で体を壊しても、誰も責任は取ってくれません。そのため、早めに生活と仕事のバランスが取れる保育園で働く検討をしてください。
保育士確保のため有給消化しやすい保育園は増えています。小規模保育園、企業内保育所、院内保育所を中心に、保育士転職サイトに希望を伝えれば有給消化しやすい保育園を探すことは難しくないです。
わたしが実際に使って転職活動に役立ったサービスは、保育士バンク、マイナビ保育士、ジョブメドレー保育士です。
- 保育士バンク
保育士が選ぶ転職サイトNo.1!担当者は元保育士が多く相談しやすい。地方求人も◎
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最近は有給消化率の改善を図る保育園が増えています。有給消化の義務化のおかげで、意識して動く保育園は多いです。うまくこの流れに乗って、余裕を持って仕事ができる働き方に変えたいものです。