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本ページにはプロモーションが含まれます。「有給?この忙しいときに?どんな理由?」先輩保育士からこんな言い方をされたり、有給消化明けの同僚の視線が痛かったりすると有給消化が悪いように感じてしまいます。
でも最近は保育士の働く環境が少しずつ良くなり、一定割合の有給消化も義務化されました。もしかしたら周囲で有給がとれないのは、あなたの保育園だけかもしれません。
- 保育士の有給休暇って日数は決まってるの?
- 保育士って有給とれないよね……有給消化率低そう。
- 有給消化の義務化って何?保育士にも関係ある?
- 退職前なんだけど有給消化しない方がいいのかな?
- 有給消化中に転職することってできる?
このような疑問を持つ人のために、保育士の有給日数と有給消化率、有給休暇を消化するためのポイント、有給消化しやすい保育園の特徴などについて解説します。
なかなか休みがとれない、有給消化できないなど困っている人は、この記事を読んで有給消化しやすい環境作り、有給消化しやすい保育園に転職するための参考にしてください。
保育士、幼稚園教諭、保育教諭歴20年以上。幼稚園、保育園、認定こども園など転職して述べ500人以上の園児を保育し、保護者の相談に答えてきました。両親・祖母が教師・保育士なので、保育士は多分天職です。
詳しいプロフィール
保育士は有給消化できないのが当たり前?
「保育士は忙しいから有給が消化できない。」「保育士だから有給休暇を我慢するのは当たり前!」そんな考えの保育士は、保育園や社会に洗脳されています。
「あなたがクラス持ち上がりたいって言ったんだからね!責任もって保育しなさい、休んだら誰がクラスみるの?」と園長に言われたという保育士さんがいました。
だから有給もとれないそうです。聞いていて悲しい気持ちになりましたが、数年前私も同じこと言われたなあ。#保育士 #保育園— 保育士.net (@hoikushi_net) November 9, 2021
未だにこんなことを言う園長もいるようで……。今の御時世でこんなの録音されたら、色んなところがすぐ動きそう。「保育士は有給消化できない」は当たり前ではありません。
- なぜ有給休暇の消化が大切なのか
- 有給休暇が取りやすい保育園は増えている
なぜ有給休暇の消化が大切なのか
という人はいないと思いますが、有給休暇を重視していない人はいるかもしれません。有給消化は労働者の権利であり、以下の意味があります。
年次有給休暇とは、一定期間勤続した労働者に対して、心身の疲労を回復しゆとりある生活を保障するために付与される休暇のことで、「有給」で休むことができる、すなわち取得しても賃金が減額されない休暇のことです。
有給休暇は人生で一番大切な時間を確保できる休暇制度です。休みが1日あったら10時間以上の時間、有給休暇が10日なら100時間以上の時間が生まれます。
「休みがあってもすることがない」と思わず、100時間あったら何ができるか考えてください。将来のために100時間投資できるのは素晴らしいことです。
有給休暇が取りやすい保育園は増えている
今は保育士不足なので、保育園は待遇や働く環境を改善して保育士を確保したい状況です。そのため積極的な休暇施策、有給休暇の取りやすさをアピールする保育園も増えています。
有給休暇を取りやすい保育園の重要性を理解できない人は以下を読んでみてください。
では、有給消化しやすい保育園とはどんな保育園なんでしょうか。ポイントは以下の3つです。
- 仕事が忙しすぎない保育園
- 業務を効率化している保育園
- 保育士の待遇を重視している保育園
これらの有給消化しやすい保育園のポイントを解説しますが、その前に有給休暇の日数や仕組みは理解していますか。有給休暇の日数や仕組みを理解してないと話が前に進みません。
有給休暇を理解している人は「保育士がスムーズに有給消化するためのポイント」に飛んでください。
有給休暇の日数や仕組みを知らないと話にならない
有給休暇は労働基準法で定められた制度で、労働者に対して1年ごとに一定の休暇を与えるものです。保育士だから何日など、職業による日数の違いはありません。
また有給休暇は、勤務開始から「6か月以上の継続勤務」と「出勤日数が全労働日の8割以上」という条件で与えられるもので、パート保育士やアルバイトも同様です。
- 正規保育士の有給休暇日数は何日か
- パート・アルバイトの有給休暇日数は何日か
- 有給休暇の繰り越し有効期限は2年間
- 有給休暇の消化は義務化されたけど
- 保育士の有給消化日数(有給消化率)は平均7-9日
正規保育士の有給休暇日数は何日か
一般的に、勤続6か月を超えると10日間の有給休暇が付与されます。その後は1年毎に増えて、勤続6.5年以上は毎年20日間の有給休暇が付与されます。
- 勤続6か月で有給休暇数を10日付与
- 勤続1.5年で有給休暇数を11日付与
- 勤続2.5年で有給休暇数を12日付与
- 勤続3.5年で有給休暇数を14日付与
- 勤続4.5年で有給休暇数を16日付与
- 勤続5.5年で有給休暇数を18日付与
- 勤続6.5年で有給休暇数を20日付与
この有給休暇の日数は最低限なので、保育園によってはこれ以上の有給休暇の付与が就業規則で規定されていることもあります。
パート・アルバイトの有給休暇日数は何日か
パート・アルバイト保育士も週の所定労働日数が5日を超えれば、正社員と同様の有給日数が付与されます。ただし所定労働日数で有給休暇日数が変わります。
所定労働日数 | 年間労働日数 | 勤続6か月 | 1.5年 | 2.5年 | 3.5年 | 4.5年 | 5.5年 | 6.5年以上 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
週4日 | 169日-216日 | 7日付与 | 8日付与 | 9日付与 | 10日付与 | 12日付与 | 13日付与 | 15日付与 |
週3日 | 121日-168日 | 5日付与 | 6日付与 | 6日付与 | 8日付与 | 9日付与 | 10日付与 | 11日付与 |
週2日 | 73日-120日 | 3日付与 | 4日付与 | 4日付与 | 5日付与 | 6日付与 | 6日付与 | 7日付与 |
週1日 | 48日-72日 | 1日付与 | 2日付与 | 2日付与 | 2日付与 | 3日付与 | 3日付与 | 3日付与 |
たとえば週4日働くパート保育士は、勤続6ヶ月超で有給休暇が7日間付与されます。週3日の場合は5日間の付与です。労働時間も関係するので、あくまでも目安です。
有給休暇の繰り越し有効期限は2年間
有給休暇は、前年に使わなかった日数は繰り越されます。たとえば1年目で5日間有給休暇を使わなければ、残り5日が繰り越されて翌年の有給休暇は5日+11日=16日になります。
ただし付与された有給休暇の繰り越し期限は2年間で、期限切れ分から有給休暇は消滅していきます。
有給休暇の消化は義務化されたけど
有給休暇の消化は、「働き方改革関連法案」で義務化されました。
これは保育士に限らず、10日以上の有給休暇が付与される労働者は年間5日以上有給消化しないと法人に30万円以下の罰金が課されます。
「なかなか有給とれない……。」という保育園でも法律に従わないといけないので、保育園側から「○○さん、有給消化してね。」などの声掛けが必要なんです。
なんで事務所の先生とってて
保育士取れへんねん(笑)
自分達だけずるいやろ(笑)
土曜日やったら、支障がないように
取れるはずやで…計画有給の5日しか取れないって
ブラック洗脳されてる— みきぷるーん@🌟11/20kokorisu 11/28まどりがる☆まつり🌟 (@mikipuru_nnn) October 6, 2019
後ほど説明しますが、保育士が有給休暇をスムーズに取得するために「有給休暇の計画的付与」は有効です。ただ上記のように、「有給休暇の計画的付与」を悪用する保育園もあります。
保育士の有給消化日数(有給消化率)は平均7-9日
「全国保育協議会会員の実態調査報告書2016」によると、保育士の有給消化率は以下の通り。勤続年数がわからないので正確な有給消化率はわかりませんが、平均7-9日は消化されているようですね。
日数 | 2日以内 | 3-6日 | 7-9日 | 10-15日 | 16-20日 | 21日以上 | 無回答 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
全体 | 2.9% | 31.3% | 28.8% | 25.3% | 6.8% | 1.4% | 3.5% |
公設公営 | 3.2% | 40.7% | 31.5% | 17.9% | 3.1% | 0.7% | 2.9% |
公設民営 | 3.1% | 30.8% | 22.5% | 31.3% | 7.5% | 1.8% | 3.1% |
民設民営 | 2.6% | 23.9% | 27.2% | 30.7% | 9.6% | 1.9% | 1.0% |
2016年時点で有給消化日数が5日未満の保育士は2-3割もいるので、有給休暇の消化が義務化したことで有給消化率は前より改善しているはずです。
保育士がスムーズに有給消化するためのポイント
保育士が有給休暇を消化しやすくするには、まず有給休暇を消化する時期の工夫が必要です。
有給休暇は年5日以上の消化が義務付けられたので、以下のように園長から保育士に対して、有給消化希望時期を聞くのが一般的です(になればいいなぁ)。
年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説2019年4月施行 - 厚生労働省
保育園の就業規則で有給申請の方法は確認した方が良いですが、基本的には好きなように有給休暇がとれます(だといいなぁ)。ただし、有給休暇の消化タイミングはある程度考慮しましょう。
例外を除いて法律的にはいつ有給休暇を取っても良いのですが、法律では同僚の気持ちはコントロールできません。そこは法律関係なく気をつける部分です。
- 保育園には有給消化に対する時季変更権がある
- 年度末・行事前の有給消化はなるべく控える
- 感染症時期の私的な有給消化は控える
- 1か月に1度有給消化できる日の予定を考える
- 保育園に「有給休暇の計画的付与」を提案する
- 保育園を退職するなら有給はすべて消化する
保育園には有給消化に対する時季変更権がある
会社(保育園)には有給申請で業務に支障が出るときに、取得日を変更させる時季変更権があります。
有給消化を却下された理由が仕事上仕方ないなら、スケジュールのすり合わせが必要です。感情で却下されたと感じたら、いつなら有給がとれるか聞いてください。
年度末・行事前の有給消化はなるべく控える
保育士が忙しい年度末、とくに卒園児担任は毎日テンパっています。そんな中で、同僚を助けるより有給消化を優先すると嫌われます。そのため、年度末の行事準備前に有給を消化する保育士は多いですね。
また運動会や発表会など、大きな行事前も避けた方が良いと思います。どうしても休みたいときは、ある程度事前に「ほんとにごめんね。」など話しておくことが大切です。
感染症時期の私的な有給消化は控える
インフルエンザや嘔吐下痢が流行る11月-2月は、私的な有給申請は控えた方が良いです。どちらにしても自分や家族が病気にかかることもあるので、見越して有給休暇は何日か残しておきましょう。
1か月に1度有給消化できる日の予定を考える
有給休暇は、「予定なく」「突然」「一気に」「長期間」とるから現場が混乱するんです。月に1-2日消化するイメージで、行事や他の保育士と調整するとうまく有給消化できます。
保育士が有給消化しやすい環境を作るのは保育園ですが、本気で有給消化したいならシフト切り替え時期や1か月に1度有給消化できる日がないか考えてください。
保育園に「有給休暇の計画的付与」を提案する
有給休暇を取得しにくい保育園には、「有給休暇の計画的付与」を提案してください。計画的付与とは、保育士の有給休暇を保育園全体で管理する方法のことです。
有給消化が義務化されたことで、保育園は無理やりにでも保育士に有給を消化させないといけません。ただし、忙しい時期に一斉に有給をとられたり、何日もまとめてとられると困りますね。
そのため保育園側で積極的に有給消化させつつ、計画的に有給消化させることで保育園運営に支障をきたさないようにコントロールすることが目的です。
これまで有給消化しにくかった保育園なら、有給休暇の計画的付与は保育士とWin-Winの提案ですね。
保育園を退職するなら有給はすべて消化する
保育園を退職することになり、それまでに有給を消化できなかった場合は退職日から逆算してすべての有給を消化してください。
有給消化は労働者の権利であり、働いた対価として付与されたものです。「有給残ったままだけど消化しなくてもいいかな……。」という人もいると思いますが、単純にもったいないです。
退職前にして有給が10日以上余った。予定があるので行事のない年度末に使わせて欲しいと申請したら、退職者は年度末の有給消化は禁止と言われました?どうあっても違法です。#ブラック保育園 #保育士辞めたい
— ぐんて (@H8gXhyzIohoWj5F) February 8, 2018
こんなことを言われても関係なく退職までに有給を消化してください。どうせ辞める保育園なので、「労働基準監督署に伺ってみますね。」と言えば100%許可されるはずです。
保育園を退職するなら関係なく有給消化できますが、そうでない場合に毎年有給休暇を繰り越して消滅させるのはもったいないです。有給消化できないことは、転職の十分なきっかけになります。
有給消化しやすい保育園の特徴と求人の探し方
有給消化しやすい保育園は忙しすぎない保育園、業務を効率化している保育園、保育士の待遇を重視している保育園です。具体的にどんな保育園か、どうすれば見つかるのか説明します。
- 行事が少ないor力を入れている行事がない保育園
- 多くの保育園を管理する運営法人
- 保育士の配置基準を十分に上回っている保育園
- 保育士転職サイトがおすすめする保育園
行事が少ないor力を入れている行事がない保育園
保育士が忙しい原因の1つは行事が多いことです。行事があると行事の準備があるため、残業が増えてなかなか有給がとれない原因になります。
小規模保育園、企業内保育所、院内保育所は基本的に行事が少なく、大きな行事もないので、残業も少なく有給消化しやすい施設が多いです。
多くの保育園を管理する運営法人
保育士が忙しい原因の1つは業務が効率化されてないことです。多くの保育園を運営する運営法人は業務効率重視なので、タブレットを使ったICTなどで効率化されてる場合が多いですね。
運営法人とは小学館集英社プロダクション、ポピンズ、HITOWAキッズライフ、ライクアカデミーなどのことです。また別途まとめます。
保育士の配置基準を十分に上回っている保育園
保育士が忙しい原因の1つは保育士が足りないことです。保育士の配置基準を十分に上回っている保育園は有休を消化しやすいです。認可外保育園でも配置基準を上回っている保育園を選びましょう。
保育園の状況によっても変わりますが、目安は保育士の配置基準が1.5倍以上の保育園です。
子供の年齢 | 子供の数 | 保育士の数 |
---|---|---|
0歳児 | 3人 | 1人 |
1-2歳児 | 6人 | 1人 |
3歳児 | 20人 | 1人 |
4歳以上児 | 30人 | 1人 |
転職エージェントがおすすめする保育園
上記の基準以外で有給消化しやすい保育園を探したい人は、転職エージェントに「有給消化しやすい保育園」という条件で求人を探してもらいましょう。
たとえば、保育士バンクで「有給消化しやすい保育園」とアピールしている求人を検索すると、全国で6750件見つかります(2020年3月)。
保育施設は全国で35000箇所ほどありますが、保育士バンクだけで6000件以上の有給消化しやすい求人があることを知ると、今の保育園で働いているのが馬鹿らしく感じますね。
有給消化しやすい保育園は簡単に見つかる!
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サイト名 | 公開求人 | 拠点数※ | 転職フェア | 担当者 | サポート | 口コミ |
---|---|---|---|---|---|---|
マイナビ保育士 | 20,060件 | 12拠点 | ○ | 4.8 | 4.7 | 4.8 |
保育士バンク | 17,677件 | 8拠点 | ◎ | 4.7 | 4.8 | 4.8 |
拠点数はサービス全体、またはグループ全体のものです。
上記は2022年3月時点のサイト内調査による数値、または予測数です。
マイナビ保育士は求人数が多く、保育園情報を網羅していることが特徴です。マイナビグループなので実績も豊富で、履歴書・面接対策、面接同行などサポートも手厚いですね。
保育士バンクは担当者に元保育士が多く相談しやすいことが特徴です。またWEB面接や転職フェアなどサポートの質が高く、非公開求人も多くて使いやすいです。
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マイナビ保育士[公式]
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保育士バンク[公式]
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転職活動には基本的に転職エージェントを使いますが、転職サイトにも登録してください。ジョブメドレー保育士は以下の理由で登録しておくと便利です。
- 転職エージェントより求人数が多いため求人比較に便利
- 担当者からの電話連絡がないのでマイペースで活動できる
- スカウトメール機能で保育園からのスカウトが期待できる
それぞれのサービスの特徴は以下でまとめたので、転職を考えている人は参考にしてください。
地方の昔ながらの保育園はなかなか待遇を変えませんし、一部のブラック保育園は有給消化自体期待できません。そのため、今も有給をとれないことで悩む保育士は多いです。
また有給消化が義務化されましたが、有給休暇が10日なら10日間、20日なら20日間休めることが労働者の権利です。有給休暇を義務的に5日間消化しただけで満足してはいけません。
有給消化できない保育園で体を壊しても、誰も責任は取ってくれません。有給を消化できない時代錯誤の保育園からは早めにおさらばしましょう。