保育士の平均残業時間は？残業を減らす方法、残業なし保育園に転職する方法

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保育士は残業が多いイメージがありますよね。持ち帰り仕事も残業にカウントすると、月に40時間以上残業する保育士も多いはず。

保育士は保育後の事務仕事、書き仕事、行事準備に追われて残業をしたり、仕事を持ち帰ります。朝は早くて夜も遅い……これだけ残業が多いと疲れが取れません。

ところが令和2年度の厚生労働省の調査では、保育士の平均残業時間は月たった2時間。この平均残業時間はどう考えてもおかしいですよね？

今回は保育士の残業に疑問や不満を持つ人のために残業を減らす方法、転職したい人のために残業なし・残業少なめの保育園の具体的な特徴を解説します。

残業に苦しんでいる保育士は、最後まで読んで今後の身の振り方の参考にしてください。

なお、この記事は保育士の残業を減らす方法や残業が少ない保育園の特徴をまとめたものです。持ち帰り仕事などのサービス残業の残業代請求について知りたい人は以下を参考にしてください。

保育士の平均残業時間が月2時間の理由

厚生労働省が行った令和2年度賃金構造基本統計調査によると、保育士の平均労働時間は168時間、残業時間（時間外労働時間）は1か月で約2時間となっています。

実際に都道府県別で労働時間と残業時間の平均を見ると以下の感じ。

このように全国の保育士の平均残業時間の状況を見ると、「あれ？やっぱりわたしの残業時間がおかしい……？」と思うのも仕方ないこと。でもやっぱり納得できません。

保育士の月平均残業時間が2時間なのはおかしすぎる

保育士はみんなそう思いますよね。残業が1か月2時間（120分）だと1日平均6分ほどです。これがほんとなら、退職の理由で「労働時間が長い」が17％もあるわけがない……。

わたしは出産前までは1日1-2時間残業して、ほぼ毎日仕事を持ち帰ってました。わたしより残業をしている保育士は多いと思います。

私立の大規模保育園の保育士が、1日8時間の勤務時間で仕事を終わらせるのは難しいです。

厚生労働省発表の保育士の残業時間が実態と違う理由

保育士の仕事は子供の保育だけじゃありません。例を挙げると以下の通り。ざっくり全体の3割は保育以外の仕事です（人による）。

ところが園長など経営者の中には、保育士の仕事は「シフト時間＝保育の時間」と考える人もいます。極端な言い方だと、「書き物や雑務はシフト時間以外でやってくれ」ということです。

昼食を5分で終わらせたり、休憩時間に書き仕事をするなど働き方を工夫しますが間に合いません。行事の準備で仕事が増える時期は、さらに残業や休日出勤、持ち帰りが増えます。

ちなみに、休憩時間に書き仕事などをして1日の休憩時間が潰れるのは違法です。保育園は、休憩時間に保育士に仕事をさせないよう配慮しなければいけません。詳細は以下を参考にしてください。

保育士の平均残業時間が月2時間しかないのは、残業代が支払われた分しか残業時間に換算しないからです！つまり、それ以外はすべてサービス残業ということです。

わたしたち保育士は、いつの間にか残業とサービス残業を混同しています。賃金が支払われるのが残業（時間外労働）、支払われないのがサービス残業です。

保育士が忙しい理由、サービス残業・持ち帰りが多い理由

保育士のサービス残業や持ち帰りが一部の保育園で当たり前なのは、保育士の仕事が忙しいからです。保育士の仕事が忙しい、サービス残業が当たり前なのは以下の理由があります。

1年中何らかの行事の準備があるから

保育園にはいろんな行事があります。「入園式」「運動会」「発表会」「卒園式」などは保護者も参加する一大行事なので、準備に時間がかかります。早いときは3か月前から準備を始めます。

他にも「お誕生日会」「こどもの日」「七夕」「ハロウィン」「クリスマス」「豆まき」「ひな祭り」「遠足」など中小の行事があります。以下は保育園でよくある行事の例です。

これに毎月の誕生日会や地域との交流会、それぞれ資料作成もあるので、ほぼ1年中行事準備があります。このような行事の準備は保育時間外で行うので、必然的に残業や持ち帰りが増えます。

とにかく保育士不足の保育園が多いから

保育業界は保育士不足が続いていて、有効求人倍率は3倍を超えています。

以下の保育士の配置基準を守っても仕事量に対して十分な人数は揃っていませんし、シフトの保育士が急に休みになると穴埋めのためにかなりバタバタします。

保育にあたる保育士の人数が不足していても、今いる保育士で何とか保育園を回さないといけません。そのため保育士一人あたりの仕事量が増えて、サービス残業や持ち帰り仕事をすることになります。

保育後の会議や休日研修が多いから

子供が帰った後に会議をする保育園は多いです。30分程度ならまだいいんですが、みっちり2時間（意味のない）会議をする園長もいます。

しかも「これはあなたたちに必要なことだから」とその会議時間を残業に含めない保育園もあるそう。

また発達心理学、栄養学、衛生管理学など外部研修は土曜に行われることが多く、強制参加の保育園も多いですね。学ぶのは自分のためですが、土曜に無償で強制は辛いです。

みなし残業で時間の感覚が麻痺するから

月給に一定時間（10-20時間ほど）の残業代（固定残業手当）を含む「みなし残業（固定残業制度）」の保育園も多いですね。

みなし残業でも、残業時間が設定した一定時間を超えた分は残業代を請求できるので、みなし残業制度自体は問題ありません（法律上は違法ではない）。

ところが保育士がみなし残業を理解しないで毎日残業をしていると、残業が当たり前の感覚になってしまいます。

そのため本来はみなし残業を超えた分は残業代を請求しますが、感覚が麻痺して残業がどうでも良くなるんです。これが習慣になるとズルズル無駄なサービス残業が増えます。

持ち帰りは残業じゃない風潮があるから

持ち帰り仕事は残業だと理解していない人がいますが、残業代が発生する立派な残業です。ただし残業代が発生するには、園長などの業務命令や保育園の認識が必要です。

以下で説明していますが、保育士が勝手に持ち帰り仕事をしてもほとんどは残業代が請求できません。残業代を請求するにはいくつかポイントを押さえて、計画的に進める必要があります。

サービス残業が当たり前の環境だから

保育士不足の保育園はたくさんあります。このような万年人手不足の保育園は、サービス残業が文化になってしまったブラック保育園です。

ブラック保育園は「子供のため」「保育は他の仕事と違う」など精神論が多く、園長やベテラン保育士が「自分の時間を使って経験積まないと一人前になれないわよ。」と悪びれずに言います。

そろそろサービス残業じゃなく「違法残業」と呼んだ方が良いと思うんですが、どう思いますか？

保育士が残業時間を減らす工夫や改善ポイント

保育士が相互協力して仕事を分担する

1人の保育士が仕事をかかえると、渋滞して保育園全体の残業が増える原因になります。たとえば行事担当は仕事量が多いので、周りの保育士に分担して手伝いをお願いしましょう。

とくに新人保育士は慣れていないので、仕事に時間がかかります。「担当が誰」という話じゃなく、先輩保育士が手助けして1人の負担を軽くすれば、保育園全体の仕事がスムーズになります。

行事以外の仕事でも保育士同士が協力して保育園全体の仕事をこなす体制を作ることで、仕事の渋滞がなくなって残業を減らすことができます。

行事前・合間に準備を進めておく

保育園の年間行事はすべて先にわかっています。そのため行事の合間の時期に、次の行事の準備を進めましょう。これは誰か1人が先行しても意味がなく、保育園全体がまとまらないとできません。

ただし行事準備は凝りだすと際限がありません。最初にどのレベルのものをどれくらいの時間をかけて作るかを決めておくと良いですね。それが保育園のルールになればベストです。

制作は効率化や再利用を重視する

行事に必要な制作物は、再利用して仕事の効率化を図りましょう。凝った衣装や小道具は作らず、工作レベルで済ませるなど仕事を効率化すれば残業時間は減らせます。

過去制作物を再利用しても時間を減らせるので、メモや余分に作った見本を残しましょう。また先輩保育士からアイデアをもらったり、保育園全体で制作ノウハウを共有するのも効率化のポイントです。

個人レベルではなく、保育園レベルで行うことが大切です。多くの保育園は仕事の範囲を個人に任せていて、その確認や承認も個人任せなので効率が悪くなります。

ベテラン保育士の考え方を変える

保育士の残業を減らすには意識改革が必要です。とくに「残業すれば保育スキルが上がる」「子供に時間をかけない保育士は愛がない」などの偏った考え方を変えないと、保育業界は良くなりません。

ただベテラン保育士の考え方を変えるのは難しいです。考え方を否定されると、これまで自分がやってきたことがすべて無駄に感じるからです。

もし保育園に残っても意味がない無駄な残業があると思ったら、先輩保育士の目を気にしないで帰るなど強い意志を示すことも大切です。

ICT導入など保育園主導で効率化を図る

新しい保育園はICTを導入して書き物を減らすなど、園主導で仕事を効率化しています。壁面制作が減ったように、行事の見直しや簡略化で過去の保育業界の常識をあらためる保育園も増えていますね。

ただ、昔ながらの非効率なやり方を変えられない保育園は多いです。とくに田舎の保育園では周りに比べる保育園がないので、どうしてもやり方を変えたがりません。

ただ近年は保育の多様性が求められているので、仕事自体は以前より増えています。そのため効率化の変革をしない限り、サービス残業は増える一方です。

保育園に働き方の改善交渉をする

残業や持ち帰りが当たり前の感覚になって、「仕方ない」と受け入れる保育士は多いです。ただその考え方だとサービス残業を減らすことはできませんし、保育士になる人も増えません。

そのためサービス残業や持ち帰り仕事が多く、残業代が出ない保育園には改善交渉をしましょう。企業主導型だと上司が現場を知らないことも多いので、保育のプロとして交渉すれば改善見込みがあります。

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保育士の残業を減らすには、保育園が保育士を守る意識が必要です。「勤務時間は保育士がフルで保育するのが当たり前」という考え方の園長だと残業はなくなりません。

もちろん、大きな改革は保護者にも説明が必要です。普段から保護者対応もすべて現場任せの保育園だと、保護者説明が必要な改革は怖くてできません。

残業なし・残業少なめの保育士求人の探し方

残業なし・残業少なめの保育園にはいくつか特徴があります。それは「行事に力を入れていない保育園」と「保育士の人数が足りている保育園」です。

残業が増える原因の1つは行事の準備です。行事に力を入れている保育園ほど保育士の仕事は増えます。そのため残業を減らしたいなら、あえて行事が少ない保育園を探しましょう。

また、配置基準よりも保育士の働きやすさを重視している保育園も残業は少ないです。保育士の働きやすさとは余裕を持って子供の保育ができる環境を整えている保育園のことです。

これらを踏まえて転職エージェントで求人を検索するか、求人探しを依頼しましょう。

残業なし・残業少なめの求人を検索する

まずは「残業なし・残業少なめ」という検索条件で検索してください。たとえば保育士バンクでは9388件、ジョブメドレー保育士では9375件の求人が見つかります（2021年9月時点）。

保育士バンクの場合は、求人検索の「こだわり」で「残業少なめ」を選択して検索します。

どちらも全国の求人数なので、まず登録してから自分の地域の求人数も確認してみてください。

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小規模保育園、企業内保育所の求人を検索する

「残業なし・残業少なめ」の項目がない転職エージェントでは、小規模保育園、企業内保育所の求人を検索しましょう。

小規模保育園や企業内保育所は0-2歳児保育が多く、大きな行事が少ないため、残業が少なめの保育園が多いです。

小規模保育園、企業内保育所求人は関東に多いので、関東に強く実績が豊富なマイナビ保育士で調べてください。他の地域も調べたい場合は保育士バンクも活用しましょう（2021年9月時点）。

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派遣保育士で働ける求人を検索する

働き方にこだわりがない人はパート保育士で働く方法もありますが、サービス残業や持ち帰りを一切したくない人は派遣保育士がおすすめです。

派遣保育士は派遣社員として保育園で働く方法です。派遣会社の社員なので、保育園が派遣保育士にサービス残業や持ち帰り仕事をさせることはできません。

派遣保育士の働き方や待遇、派遣保育士になる方法を詳しく知りたい人は以下を参考にしてください。

派遣保育士として働ける転職エージェント（派遣会社）は、保育情報どっとこむ、ほいく畑、ほいぷらがあります。

上記は2021年9月時点のサイト内調査による数値です。

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転職エージェントで「残業なし・残業少なめ」の検索をすれば、該当求人はたくさんでます。ただ、それを盲信して残業なし保育園が絶対に残業なしだと思い込まないでください。

どの保育園にも必ず忙しい時期がありますし、子供のことで不測の事態が起こることもあります。そのためやむを得ない残業があることも覚悟しましょう。

保育士の仕事の特徴を理解しているなら、このくらいの感覚で転職することが理想ですね。

サービス残業が多い保育園だと1年で500時間も損！

サービス残業だらけの保育園で妥協している人は人生を損しています。自分が1日何時間サービス残業や持ち帰り仕事をしているか考えてください。

以下は資格の合格までに必要な勉強時間の平均です。たった1年ですごい資格も取れます。英検やTOEIC、パソコンの勉強も余裕を持ってできますよね。

また500時間を時給1000円の副業にあてると、「1000円×500時間＝50万円」にもなります。大きな副収入ですね。

ただサービス残業体質の保育園から残業をなくすのは、99％不可能です。サービス残業が当たり前で、悪いことだと思ってない保育園とはわかり合えません。

そんなブラック保育園からは早く逃げましょう。保育士の需要は高くなり、待遇は変わり始めています。

選び方がわからない人は、わたしが使っていたマイナビ保育士と保育士バンクを使ってみてください。公開求人数、拠点数、評価は以下の通りです。

拠点数はサービス全体、またはグループ全体のものです。
上記は2022年3月時点のサイト内調査による数値、または予測数です。

マイナビ保育士は求人数が多く、保育園情報を網羅していることが特徴です。マイナビグループなので実績も豊富で、履歴書・面接対策、面接同行などサポートも手厚いですね。

保育士バンクは担当者に元保育士が多く相談しやすいことが特徴です。またWEB面接や転職フェアなどサポートの質が高く、非公開求人も多くて使いやすいです。

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転職活動には基本的に転職エージェントを使いますが、転職サイトにも登録してください。ジョブメドレー保育士は以下の理由で登録しておくと便利です。

それぞれのサービスの特徴は以下でまとめたので、転職を考えている人は参考にしてください。

人生で1番大切なものは時間です。失った時間は取り戻せません。人生をより有意義にするために、1日でも早くサービス残業が多い保育園から抜け出すことをおすすめします。