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小規模保育園は元々認可外でしたが、「子ども・子育て支援制度」で認可運営されるようになったことで爆発的に増えました。
そのため保育士の有力な転職候補になりましたが、一般的な保育園に勤める保育士にはわからないことが多く不安かもしれません。
- 小規模保育園と保育園の違いは?仕事内容は?
- 小規模保育園で働くメリット・デメリットを教えて。
- 小規模保育園は働きにくいって聞いたから不安……。

小規模保育園に転職して後悔している保育士、辞めたい保育士もいると思いますが、それは一般的な保育園や他の職業でも同じです。
良い小規模保育園の求人を見つけることで、勤務時間や休みなど待遇が良く、経験が浅い保育士やブランクがある保育士も働きやすいメリットがあります。
転職して後悔しないためにも、この記事を読んで小規模保育園の仕事内容や給料などのメリット・デメリット、良い小規模保育園の特徴を押さえてください。

保育士、幼稚園教諭、保育教諭歴20年以上。幼稚園、保育園、認定こども園など転職して述べ500人以上の園児を保育し、保護者の相談に答えてきました。両親・祖母が教師・保育士なので、保育士は多分天職です。
詳しいプロフィール
小規模保育園の特徴、保育園との違いは?

小規模保育園とは、平成27年(2015年)4月に施行された「子ども・子育て支援新制度」で新しく作られるようになった保育施設のことで、A型、B型、C型の施設形態に分類されます。
小規模保育園の需要はとても高く、平成27年度は1655事業所だったものが5年後の令和元年10月には4947事業所にまで増えています。
- 小規模保育園とは小さな保育園のこと?
- 小規模保育園と大規模保育園の違いは?
- 小規模保育園のA型、B型、C型の特徴は?
小規模保育園とは小さな保育園のこと?
小規模保育園とは、0-2歳児を対象とした定員6-19人までの小規模保育事業のことです。単純に規模が小さな保育園というわけじゃなく、保育士や子供の人数などいくつか基準があります。
小規模保育園の保育士の仕事内容は0-2歳児のお世話で、一般的な保育士の仕事と同じです。保育園の乳児クラス(0-2歳クラス)の仕事と変わりません。
小規模保育園の特徴を理解している人は以下を飛ばして、「保育士が小規模保育園で働くメリット・デメリット」を見てください。

小規模保育園と大規模保育園の違いは?
小規模保育園と保育園の違いは、「小規模保育園の方が施設規模が小さい」「定員(受け入れ数)が少ない」「保育士の割合が多い」などです。保育士の配置基準は以下の違いがあります。
保育園 | 小規模A型 | 小規模B型 | 小規模C型 | |
---|---|---|---|---|
保育士数 | 0歳児3人に対し1人 1-2歳児6人に対し1人 |
保育所の配置基準+1名 | 保育所の配置基準+1名 | 0-2歳児3人に対し1人 保育補助を置く場合5人に対し2人 |
資格 | 全員保育士 ※1 |
全員保育士 ※1 |
1/2以上保育士 ※1、2 |
家庭的保育者 ※3 |
保育室等 | 0歳-1歳 ・乳児室1.65㎡/1人 ・ほふく室3.3㎡/1人 2歳以上 ・保育室1.98㎡/1人 |
0歳-1歳 ・3.3㎡/1人 2歳 ・1.98㎡/1人 |
0歳-1歳 ・3.3㎡/1人 2歳 ・1.98㎡/1人 |
0歳-2歳 ・3.3㎡/1人 |
給食 | 自園調理 調理設備 調理員 |
自園調理※4 調理設備 調理員 |
自園調理※4 調理設備 調理員 |
自園調理※4 調理設備 調理員 |
利用定員 | 20人以上 | 6-19人 | 6-19人 | 6-10人※5 |
※1.保健師又は看護師の特例(1人まで)を設ける
※2.保育士以外には自治体が行う研修を実施する
※3.自治体の研修修了した保育士、または保育士と同等以上の知識・経験を有すると自治体長が認める者
※4.連携施設等からの搬入可
※5.経過措置あり
小規模保育園は受け入れる子供の年齢や数が違うことで、大規模保育園と比べてできること・できないことがあります。
小規模保育園のA型、B型、C型の特徴は?
小規模保育園にはA型、B型、C型という種類があり、それぞれ「定員」「保育士の配置人数」「資格保有者数の割合」などが違います。
小規模保育事業A型の特徴
小規模保育園のA型は、保育園分園やミニ保育園に近い形です。配置基準は全員が保育士資格を持っている必要があり、大規模保育園より1名多く保育士を配置する必要があります。
- 定員:6-19人
- 保育従事者の配置割合:0歳児3人に対し1人+1人、1-2歳児6人に対し1人+1人
- 保育士資格保有者:すべての保育従事者
- 給食:園内調理(認定こども園や幼稚園、認可保育園などの連携施設からの給食搬入の場合もある)
小規模保育事業B型の特徴
小規模保育園のB型は、A型とC型の中間です。配置基準は半数以上が保育士資格を持っている必要があり、大規模保育園よりも1名多く保育士を配置する必要があります。
施設や自治体によっては、資格をもっていない保育従事者は研修が必要な場合があります。
- 定員:6-19人
- 保育従事者の配置割合:0歳児3人に対し1人+1人、1-2歳児6人に対し1人+1人
- 保育士資格保有者:保育従事者の1/2以上
- 給食:園内調理(こども園や幼稚園、認可保育園などの連携施設から給食搬入もある)
小規模保育事業C型の特徴
小規模保育園のC型は家庭的保育です。配置基準は大規模保育園よりも1名多く保育従事者を配置する必要があります。補助者を置く場合は、0-2歳児5人に対して2人です。
保育士資格は必要ありませんが、家庭的保育補助者として一定の研修を受ける必要があります。
- 定員:6-10人
- 保育従事者の配置割合:0-2歳児3人に対し1人(補助者を置く場合は5人に対し2人)
- 保育士資格保有者:なし(家庭的保育者、補助者が保育を行う)
- 給食:園内調理(こども園や幼稚園、認可保育園などの連携施設から給食搬入もある)

保育士が小規模保育園で働くメリット・デメリット

保育士が小規模保育園で働くデメリット
- 体を使って遊べないため物足りない
- 行事が少なくやりがいを感じられない
- 人間関係の距離感が近く対応が難しいことがある
- 新設保育園だと準備が多くて忙しい
- 運営資金が潤沢ではない可能性がある
体を使って遊べないため物足りない
小規模保育園の対象は0-2歳児なので、体を大きく動かす遊びができません。子供と走り回っておにごっこやかくれんぼをしたい保育士には、小規模保育では物足りないかもしれません。
行事が少なくやりがいを感じられない
小規模保育園では大規模行事はほとんど行わないため、行事好きな保育士はやりがいを感じにくいかもしれません。
人間関係の距離感が近く対応が難しいことがある
小規模保育園は子供の数だけじゃなく、保育士も人数が少なく距離が近いので、毎日顔を合わせていっしょに仕事をすることになります。そのため、人間関係が悪いと働きにくさを感じます。
小規模保育園を辞めたいと感じる人の多くは、人間関係が良くないことが原因ですね。
新設保育園だと準備が多くて忙しい
小規模保育園は新設の保育園が多いため、運営ルールが決まっていない、準備が多くて忙しいなどが考えられます。たとえば、新設保育園には以下のデメリットがあります。
- 新設なので立ち上げ準備が多くて忙しい
- 前の保育園の経験で話すと意見が対立しやすい
- 新しいルールがコロコロ変わる可能性もある
- 突発的な状況を助けるマニュアル・経験がない
- 保護者や地域との信頼関係がまったくない
小規模保育園に興味がある人は、新設保育園の特徴とも被るので押さえておいた方が良いですよ。
運営資金が潤沢ではない可能性がある
小規模保育園の運営は株式会社が多いため、利益が出なければ閉園する可能性があります。また、利益のために人件費を削って運営する保育園もあります。
株式会社の保育園は運営母体によって、ごく一部で悪い保育園も見られます。良い保育園は魅力的ですが、経営者の能力が低いとブラック保育園になりやすい怖さがあります。


保育士が小規模保育園で働くメリット
- 保育士不足なので給料など待遇が良い保育園が多い
- 大きな行事がないため残業や持ち帰り仕事が少ない
- 保育士の割合が多いため有給など休みが取りやすい
- 経験が浅い・ブランクがある保育士が入りやすい
- 乳児相手なので体力的な不安があっても働ける
- 保育士の数が少ないためキャリアアップしやすい
- 大規模保育園と違いより家庭的な保育ができる
保育士不足なので給料など待遇が良い保育園が多い
特に新設の小規模保育園はオープニングスタッフが必要なので、保育士確保のために比較的良い給料・待遇で求人を出すことが多いです。
とは言え以下の施設別年収一覧を見ると、小規模保育園は保育園に比べて年収が少なめです。その理由は保育園より小規模保育園の運営歴の方が短く、ベテラン保育士が少ないことが考えられます。
小規模保育園はまだ未成熟なので、小規模保育園の運営歴が長くなり、所属している保育士の年齢が上がると、平均年収も上がっていくでしょう。
常勤 | 年数 | 年収 | |
---|---|---|---|
保育園 保育士 |
私立 | 11.2年 | 3,621,876円 |
公立 | 11.0年 | 3,637,356円 | |
幼稚園 教諭 |
私立 | 7.8年 | 3,449,904円 |
公立 | 11.1年 | 4,540,272円 | |
こども園 保育教諭 |
私立 | 8.2年 | 3,359,448円 |
公立 | 9.9年 | 3,446,172円 | |
小規模保育A型/B型 保育士 |
A型 | 8.1年 | 3,225,060円 |
B型 | 8.8年 | 3,235,404円 | |
小規模保育C型 家庭的保育者 |
C型 | 8.9年 | 3,501,300円 |
若年層の給料を比べると、小規模保育園の方が若干高いと思います(令和元年度の内閣府資料)。
大きな行事がないため残業や持ち帰り仕事が少ない
保育士が忙しい原因の1つは行事の準備が多いことですが、小規模保育園は対象が0-2歳なので大規模行事は行いません。
行事が少ない小規模保育園では残業や持ち帰り仕事が少ないため、保育園に比べて保育に集中しやすい環境です。
保育士の割合が多いため有給など休みが取りやすい
小規模保育園は0-2歳対象なので、保育園に比べて保育士の割合が多くなります。そのため比較的有給休暇も取りやすいと思います。
保育園 | A型 | B型 | C型 | |
---|---|---|---|---|
保育士数 | 0歳児3人に対し1人 1-2歳児6人に対し1人 |
保育所の配置基準+1名 | 保育所の配置基準+1名 | 0-2歳児3人に対し1人 保育補助を置く場合5人に対し2人 |
経験が浅い・ブランクがある保育士が入りやすい
経験がある保育士は1つの保育園に定着するので、ベテラン保育士ほどボス化して派閥ができますね。
新設の小規模保育園は人間関係が比較的フラットなので、経験が浅い保育士やブランクがある保育士も入りやすい環境です。
今の保育園の人間関係に悩んでいる人、転職先の人間関係が不安な人は以下も参考にしてください。
乳児相手なので体力的な不安があっても働ける
40代-50代になると、転職先の新しい環境でフルに働けるか気になりますよね。小規模保育園は乳児保育のため子供と追いかけっ子をする必要はなく、体力的な不安があっても働けます。

保育士の数が少ないためキャリアアップしやすい
小規模保育園は保育士数が少ないためキャリアアップは早いです。保育園の主任保育士の平均勤続年数が20年に対して、小規模保育園の主任保育士は10年ほどです。
大規模保育園で経験を積んで、主任保育士や園長候補として小規模保育園に転職する保育士も多いですね。キャリアアップ目安を知りたい人は、以下を参考にしてください。
大規模保育園と違いより家庭的な保育ができる
小規模保育園は少人数なので大規模保育園のように賑やかな感じはなく、比較的気持ちにゆとりを持って保育に取り組めます。
また子供1人ひとりに目が届くので、ちょっとした変化にすぐ気付いて素早い対応ができます。保護者との距離も近く、いっしょに子育てをする感覚でアットホームな保育を行えます。


小規模保育園の求人の選び方とポイント
小規模保育園は給料や休み、労働時間などで魅力がありますが、業績や方針に左右されやすい業態でもあります。良い求人を選びたいなら、以下のポイントを押さえましょう。

- 大手法人が運営する小規模保育園を選ぶ
- 社会福祉法人が運営する小規模保育園を選ぶ
- 競争が激しい都市圏の小規模保育園を選ぶ
- 小規模保育園求人が多い転職サイトを使う
大手法人が運営する小規模保育園を選ぶ
小規模保育園は保育園に比べて設立しやすいため、いろんな企業が参入しています。ただ運営する企業規模が違うと保育士の待遇も違うので、大手法人が運営する保育園を探してください。
社会福祉法人が運営する小規模保育園を選ぶ
保育園を運営する社会福祉法人も、小規模保育園の運営に乗り出しています。社会福祉法人は株式会社に比べて保育園設立条件がゆるいため、保育士の給料が高い傾向があります。
社会福祉法人 | 学校法人 | 株式会社 | その他法人 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
給与月額 | 年数 | 給与月額 | 年数 | 給与月額 | 年数 | 給与月額 | 年数 | |
施設長 | 547,834円 | 25.3年 | 395,806円 | 11.7年 | 346324円 | 10.4年 | 495,984円 | 23.8年 |
保育士|常勤 | 258,901円 | 10.4年 | 217,167円 | 5.4年 | 227,781円 | 4.1年 | 252,990円 | 8.8年 |
その他|常勤 | 295,704円 | 12.4年 | 231,901円 | 6.0年 | 247,246円 | 5.3年 | 285,654円 | 11.5年 |
保育士|非常勤 | 154,394円 | 7.2年 | 142,398円 | 5.7年 | 132,221円 | 4.3年 | 149,494円 | 6.4年 |
その他|非常勤 | 146,962円 | 6.1年 | 147,544円 | 2.6年 | 141,550円 | 3.3年 | 150,561円 | 5.1年 |
保育園の運営母体が違うと、特徴も変わります。社会福祉法人、株式会社、学校法人の違いは以下を参考にしてください。
競争が激しい都市圏の小規模保育園を選ぶ
小規模保育園が増えたのは、待機児童問題を解消するためです。特に都市圏は待機児童が多いので、小規模保育園求人も都市圏が圧倒的に多いです。
地方にも小規模保育園はありますが、競争が激しい東京の方が給料が高い、休みが取りやすいなど待遇面が充実している傾向がありますね。
小規模保育園求人が多い転職サイトを使う
運営歴が短い小規模保育園は、調べても情報がない場合があります。そのため、「新しいし良さそう。」となんとなくの感覚で転職するのは後悔の元です。
保育園の情報を集めるなら、自分で調べるだけじゃなく転職エージェントに保育園の情報収集を頼んでください。
「蓋を開けたらブラック保育園だった……。辞めたい……。」じゃシャレになりません。


条件が良い小規模保育園の求人の探し方は?


まず小規模保育園の公開求人が多い転職エージェントを選びましょう。公開求人が多いと、質の高い非公開求人も持っています。求人が少ないと選びようがありません。
次に小規模保育園の情報収集をしましょう。保育園の内情や雰囲気などは調べてもらわないとわかりません。とくに新設園は過去の情報がないので転職エージェントを頼ることが大切です。
- 小規模保育園の公開求人が多い転職エージェントを選ぶ
- 複数の転職エージェントに非公開求人を紹介してもらう
- 求人票の不明点を転職エージェント経由で保育園に聞く
転職エージェントの選び方がわからない人は、わたしが使っていたマイナビ保育士と保育士バンクを使ってみてください。公開求人数、拠点数、評価は以下の通りです。
サイト名 | 公開求人 | 拠点数※ | 転職フェア | 担当者 | サポート | 口コミ |
---|---|---|---|---|---|---|
マイナビ保育士 | 20,060件 | 12拠点 | ○ | 4.8 | 4.7 | 4.8 |
保育士バンク | 17,677件 | 8拠点 | ◎ | 4.7 | 4.8 | 4.8 |
拠点数はサービス全体、またはグループ全体のものです。
上記は2022年3月時点のサイト内調査による数値、または予測数です。
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保育士バンクは担当者に元保育士が多く相談しやすいことが特徴です。またWEB面接や転職フェアなどサポートの質が高く、非公開求人も多くて使いやすいです。
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保育士バンク[公式]
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転職活動には基本的に転職エージェントを使いますが、転職サイトにも登録してください。ジョブメドレー保育士は以下の理由で登録しておくと便利です。
- 転職エージェントより求人数が多いため求人比較に便利
- 担当者からの電話連絡がないのでマイペースで活動できる
- スカウトメール機能で保育園からのスカウトが期待できる

それぞれのサービスの特徴は以下でまとめたので、転職を考えている人は参考にしてください。
小規模保育園の求人は今後も増えると予想できますが、増えるからこそ求人の見極めが大切です。この記事を参考にメリット・デメリットを理解し、働きやすい小規模保育園求人を見つけましょう。
