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本ページにはプロモーションが含まれます。今は保育士が転職しやすい売り手市場ですが、東京都は別格です。保育士が東京都で転職しやすい理由は、転職したい保育士よりも求人数が多いからです。
これを数値にしたのが「有効求人倍率」です。保育士全体の有効求人倍率は3倍ほど、東京都は6倍を超える時期(12-3月)もあります。ただ東京都以外でも転職しやすい都道府県はたくさんあります。
「有効求人倍率3倍って言われても……。」と思う人もいるはず。あなたが転職地域を迷っているなら都道府県別の有効求人倍率は転職の重要な判断材料になります。
- 有効求人倍率3倍ってすごいの?わかりやすく教えて。
- 保育士の都道府県別の有効求人倍率ってどれくらい?
- 東京の有効求人倍率が高い理由は?転職は東京がいい?
どの都道府県で転職するかは、5年後、10年後のあなたの生活を大きく変えます。そこで、現在の都道府県別有効求人倍率を一覧表にして紹介します。
保育士、幼稚園教諭、保育教諭歴20年以上。幼稚園、保育園、認定こども園など転職して述べ500人以上の園児を保育し、保護者の相談に答えてきました。両親・祖母が教師・保育士なので、保育士は多分天職です。
詳しいプロフィール
保育士の有効求人倍率3倍は高い?低い?
転職しやすさを測る有効求人倍率は、「求人数÷求職者数=有効求人倍率」の計算式で求めます。
たとえば保育園Aと保育園Bの求人枠が両方100人で、保育園Aに500人の応募、保育園Bに50人の応募があったとします。どちらも同じ条件だとしたら、どちらに応募しますか?
そうですね。保育園Bは50人全員採用しても求人枠がまだ50人ありますが、保育園Aは500人の応募の中から100人を採用する必要があります。
これを有効求人倍率にすると、保育園Aは「100人÷500人=0.2倍」、保育園Bは「100人÷50人=2倍」となります。つまり、有効求人倍率は数字が大きいほど内定をもらいやすいということです。
保育士の有効求人倍率は3倍なので、求人枠100人に対して33人しか応募がない状況です。また東京都の保育士の求人倍率は6倍なので、求人数100人に対して17人しか応募がない状況です。
日本の有効求人倍率の推移を見るとわかる
有効求人倍率3倍のすごさは、日本の戦後の有効求人倍率の推移を見るとわかります。
図1 完全失業率、有効求人倍率|早わかり グラフでみる長期労働統計|労働政策研究・研修機構(JILPT)
日本は世界第3位の経済大国ですが、有効求人倍率は過去2倍を超えたことがありません。2018年の有効求人倍率は1.6倍で戦後2番めの高さ、対して保育士の有効求人倍率は3倍です。
旬な業種の有効求人倍率と比べるとわかる
保育士以外にも有効求人倍率が高い職業はあります。たとえばIT系エンジニアが9.4倍、建築系のエンジニアが5.8倍、電気系のエンジニアが4.3倍です。
【転職求人倍率】求人倍率は前年同月比+0.03pt の2.52倍。求人数は2カ月連続で最高値を更新したが、伸びは鈍化 |転職ならdoda(デューダ)
と思うかもしれませんが、この3つの業種は今伸びているor元から市場規模が大きい業界です。さらに日本だけじゃなく世界を相手に商売をしています。
保育士の都道府県別有効求人倍率
保育士の有効求人倍率は、都道府県で差があります。厚生労働省資料の資料で、有効求人倍率、求人枠100人に対して何人応募が来るかを都道府県のデータを並べてみます。
地域 | 有効求人倍率 | 100人中の応募数 |
---|---|---|
全国 | 3.20倍 | 31人 |
北海道 | 2.73倍 | 37人 |
青森県 | 2.43倍 | 41人 |
岩手県 | 1.92倍 | 52人 |
宮城県 | 4.38倍 | 23人 |
秋田県 | 1.59倍 | 63人 |
山形県 | 2.72倍 | 37人 |
福島県 | 2.61倍 | 38人 |
茨城県 | 3.43倍 | 29人 |
栃木県 | 3.16倍 | 32人 |
群馬県 | 1.24倍 | 81人 |
埼玉県 | 4.76倍 | 21人 |
千葉県 | 2.51倍 | 40人 |
東京都 | 6.44倍 | 15人 |
神奈川県 | 3.57倍 | 28人 |
新潟県 | 2.12倍 | 47人 |
富山県 | 2.20倍 | 45人 |
石川県 | 2.07倍 | 48人 |
福井県 | 2.62倍 | 38人 |
山梨県 | 2.43倍 | 41人 |
長野県 | 2.08倍 | 48人 |
岐阜県 | 1.75倍 | 57人 |
静岡県 | 3.46倍 | 29人 |
愛知県 | 2.89倍 | 35人 |
三重県 | 2.62倍 | 38人 |
滋賀県 | 3.59倍 | 28人 |
京都府 | 3.24倍 | 31人 |
大阪府 | 4.49倍 | 22人 |
兵庫県 | 2.68倍 | 37人 |
奈良県 | 2.35倍 | 43人 |
和歌山県 | 2.56倍 | 39人 |
鳥取県 | 3.77倍 | 27人 |
島根県 | 2.10倍 | 48人 |
岡山県 | 2.12倍 | 47人 |
広島県 | 4.49倍 | 22人 |
山口県 | 1.55倍 | 65人 |
徳島県 | 3.69倍 | 27人 |
香川県 | 1.99倍 | 50人 |
愛媛県 | 2.43倍 | 41人 |
高知県 | 1.69倍 | 59人 |
福岡県 | 2.35倍 | 43人 |
佐賀県 | 1.58倍 | 63人 |
長崎県 | 1.80倍 | 56人 |
熊本県 | 2.18倍 | 46人 |
大分県 | 2.28倍 | 44人 |
宮崎県 | 2.29倍 | 44人 |
鹿児島県 | 2.10倍 | 48人 |
沖縄県 | 3.41倍 | 29人 |
47都道府県でもっとも有効求人倍率が高いのは東京都(6.44倍)、続いて埼玉県(4.76倍)、大阪府(4.49倍)、広島県(4.49倍)です。東京は100人の求人枠に15人しか応募がない状況です。
保育士需要は高いのに、求人応募数がまったく足りないことがよくわかります。
- 東京都:6.44倍
- 埼玉県:4.76倍
- 大阪府:4.49倍
- 広島県:4.49倍
- 宮城県:4.38倍
一方、有効求人倍率が低いのは群馬県(1.24倍)、続いて山口県(1.55倍)、佐賀県(1.58倍)、秋田県(1.58倍)です。
- 群馬県:1.24倍
- 山口県:1.55倍
- 佐賀県:1.58倍
- 秋田県:1.59倍
- 高知県:1.69倍
群馬県と東京都には差がありますね。ただ、有効求人倍率が低い群馬県でも1倍を切っているので保育士は足りません。そのため、保育士はどの地域でも転職しやすい状況です。
とは言え東京都の有効求人倍率6.44倍は異常です。求人の選び方を間違えなければ、保育士が東京都で転職して待遇が良くならないことはないと言って良いです。
東京都の保育士有効求人倍率が6倍もある理由
東京だけ飛び抜けて保育士の有効求人倍率が高いのは、以下の理由があります。
- 東京都の人口が圧倒的に多いから
- 東京都の保育施設が多いから
東京都の人口が圧倒的に多いから
以下は、1920年から2018年までの都道府県の人口推移が見られる面白い動画です。ちょっと長いですが、かいつまんで見ればわかります。
東京都の人口は2018年時点で1380万人以上。ここ20年はジリジリと他県を引き離してますね。その他の人口が多い都道府県もやっぱり保育士の求人倍率が高いところが多いです。
東京都の調査によると、保育施設を利用する子供の数は平成30年4月時点で293,767人。前年よりも16,059人増えてます。また待機児童数は5,414人で、3,172人減ってます。
東京都の保育施設が多いから
東京の保育施設は年々設置数が増えてます。そのため、保育施設で働く保育士も必要になります。認証保育園の設置数は減ってますが、なくなったんじゃなく認可保育園に変わっています。
区分 | 認可保育所 | 認証保育所 | ||||||
施設数 | 定員 | 施設数 | 定員 | |||||
対前年 | 対前年 | 対前年 | 対前年 | |||||
平成25年 | 1915か所 | +60 | 193757人 | +7059 | 694か所 | +42 | 23519人 | +1483 |
平成26年 | 2019か所 | +104 | 203170人 | +9413 | 719か所 | +25 | 24527人 | +1008 |
平成27年 | 2184か所 | +165 | 216699人 | +13529 | 700か所 | -19 | 23912人 | -615 |
平成28年 | 2342か所 | +158 | 230334人 | +13635 | 664か所 | -36 | 22665人 | -1247 |
平成29年 | 2558か所 | +216 | 247105人 | +16771 | 631か所 | -33 | 21418人 | -1247 |
平成30年 | 2811か所 | +253 | 266473人 | +19368 | 610か所 | -21 | 20759人 | -659 |
平成25年と平成30年を比較すると、認可保育園だけで900施設も増えてます。仮に1園平均15人の保育士が必要だとすると、たった5年で13500人の保育士が必要な環境になったということです。
定員(子供の受け入れ可能数)も7万人ほど増えてますが、さすがに東京都でそれだけ子供が増えたとは思えません。おそらく保育士数を増やして、保育の質を高めようとしているのでしょう。
保育士の有効求人倍率はこれから下がります
保育士の有効求人倍率が今後下がる可能性が高いのは、以下の理由があるからです。
- 保育士の有効求人倍率が下方推移している-厚生労働省
- 子供の数が減っている(子供の数及び割合の推移)
- 夫婦共働きが頭打ち(専業主婦世帯と共働き世帯の推移)
保育士の有効求人倍率の推移-厚生労働省
保育士の有効求人倍率が下がっている事実を厚生労働省のグラフ推移から見てみます。
厚生労働省の資料によると、保育士の有効求人倍率は平成29年度が3.4倍、平成30年度が3.64倍、令和元年度が3.86倍、令和2年度が2.94倍、令和3年度が2.93倍と推移しています。
過去5年の有効求人倍率の推移を見る限り令和元年度の3.86倍が最大で、令和3年度に2.93倍に下がっていますね。
有効求人倍率はどの業種も12月-1月が最大のため、その時期の有効求人倍率が切り下がって推移している場合は求人需要が減っていることを意味します。
ここ数年はメディアで保育士不足が叫ばれていました。そのため国も保育士不足の対策を講じた結果が出たのかな、という感じ。
子供の数が減っている(子供の数及び割合の推移)
出生数が年々減ってることは知ってますね。以下のグラフは15歳未満の子供の数ですが、今の子供の数は戦後の半分くらいしかいません。
統計トピックスNo.109 我が国のこどもの数 -「こどもの日」にちなんで-
しかも2019年は減少率が5%を超えて、出生数が86万人です。少子化は止まりません。「子供の数が半分に減っても保育士需要は変わらない!」という人はいないと思います。
夫婦共働きが頭打ち(専業主婦世帯と共働き世帯の推移)
と思うかもしれませんが、もう夫婦共働きの数も頭打ちに近づいています。
図12 専業主婦世帯と共働き世帯|早わかり グラフでみる長期労働統計|労働政策研究・研修機構(JILPT)
わたしが子供のころの1980年代とはグラフが逆ですね。まだ専業主婦世帯が600万世帯ありますが、子育て世帯に限るとそれほど多くはありません。
このように保育士の有効求人倍率が今後も下方推移するかはわかりませんが、下がり傾向という点は押さえた方が良いですね。それでも他の業界に比べたら高いわけですが。
保育士転職は有効求人倍率が高い東京都がおすすめ
東京都の有効求人倍率は目立ちますが、埼玉県、大阪府、広島県、宮城県の4倍以上もすごいです。転職地域を気にしない人は、有効求人倍率が高い東京や大都市で転職した方が良いと思います。
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