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本ページにはプロモーションが含まれます。転職して給料を上げたい人は、他の保育士がいくら給料をもらっているかを知ることが大切です。
たとえば令和2年度の賃金構造基本統計調査によると、保育士の平均月給は24.98万円、ボーナスを含んだ平均年収は374.5万円となっています。
年齢 | 勤続年数 | 実労働 | 超過実労働 | 月次給与額 | 年間賞与等 |
---|---|---|---|---|---|
37.6歳 | 7.7年 | 168時間 | 2時間 | 24.98万円 | 74.74万円 |
この給料や年収を見て、「わたしの年収安すぎ……。」と落ち込んだ人もいるでしょう。ただ保育士全体の平均だけを比べても、年齢や地域が違うと参考になりません。
20代と40代の保育士、私立保育園と公立保育園、地方と都会の保育園、大規模保育園と小規模保育園、それぞれ給料の平均が違うことは想像できますよね。
- 公務員保育士と私立保育士の平均年収っていくら違う?
- 保育士の年齢別の平均年収っていくらくらい?
- 都道府県で保育士の平均年収ってどれくらい違うの?
- 保育園、幼稚園、こども園も平均年収って違うのかな?
今より給料を上げたい人のために、「公立保育士と私立保育士の平均年収」「年齢別の平均年収」「都道府県別の平均年収」「保育施設別の平均年収」を紹介します。
いろんな項目で保育士の平均年収を比べると、自分が目指す給料の目安がわかります。また、保育士が転職して給料を上げるために何が必要かも詳しく話しますね。
保育士、幼稚園教諭、保育教諭歴20年以上。幼稚園、保育園、認定こども園など転職して述べ500人以上の園児を保育し、保護者の相談に答えてきました。両親・祖母が教師・保育士なので、保育士は多分天職です。
詳しいプロフィール
公務員保育士と私立保育士の平均年収比較
「令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果」から公立保育園の保育士(公務員保育士)と私立保育園の保育士の年収の違いを見てみます(非常勤除く)。
私立保育園 | 公立保育園 | |||
勤続年数 | 平均年収 | 勤続年数 | 平均年収 | |
主任保育士 | 21.7年 | 5,075,592円 | 25.1年 | 6,740,700円 |
保育士 | 11.2年 | 3,621,876円 | 11.0年 | 3,637,356円 |
保育補助者 | 4.9年 | 2,683,008円 | 4.9年 | 1,784,640円 |
私立保育園の保育士は勤続11年で平均年収361万円、公立保育園の保育士は勤続11年で平均年収363万円。私立保育士と公務員保育士は20代では年収差がほぼありません。
ただ30代から徐々に公務員保育士の給料が上がり、私立保育士と差が付き始めます。
特にキャリアアップして主任保育士になると、公務員保育士の平均年収は674万円、私立保育士の平均年収は507万円で170万円の差が出ます。
そのため私立保育士と公務員保育士で迷ったら、まずは公務員保育士を目指しましょう。公務員保育士の特徴を知りたい人は以下を参考にしてください。
年齢別の保育士の平均年収の比較
以下は平成26年度と平成30年度の保育士の年収を年齢別で比較した表です(男性保育士除く)。
年齢 | 平成26年 平均年収 |
平成30年 平均年収 |
平均年収の 上昇率 |
20-24歳 | 257.3万円 | 291.1万円 | 113.14% |
25-29歳 | 293.9万円 | 334.5万円 | 113.81% |
30-34歳 | 306.2万円 | 348.3万円 | 113.75% |
35-39歳 | 326.9万円 | 360.7万円 | 110.34% |
40-44歳 | 351.8万円 | 377.8万円 | 107.39% |
45-49歳 | 347.5万円 | 381.8万円 | 109.87% |
50-54歳 | 365.3万円 | 394.6万円 | 108.02% |
55-59歳 | 409.8万円 | 395.7万円 | 96.56% |
60-64歳 | 420.5万円 | 356.5万円 | 84.78% |
65-69歳 | 434.2万円 | 365.0万円 | 84.06% |
70歳- | 635.1万円 | 502.8万円 | 79.17% |
保育士等に関する関係資料 - 厚生労働省、平成30年 賃金構造基本統計調査|厚生労働省
平成26年度と平成30年度を比較すると、25-29歳の保育士の平均年収の上昇率が113.81%で1番高いことがわかります。25-29歳の年収の上昇率が高いのは、保育園にとって必要な年齢層だからです。
25-29歳の保育士はある程度保育経験があり、今後も長く保育士を続ける可能性があります。また、これから役職にキャリアアップする人も多いので、給料が上がりやすいです。
とは言え表を見る限り、保育士は20歳-54歳の幅広い年齢で平均年収の上昇率が10%前後もあります。
これだけ幅広く年収の上昇が期待できるということは、今の保育業界なら全体的にどの年代でも転職しやすいことがわかりますね。
都道府県別の保育士の平均年収比較
次に、平成30年度の賃金構造基本統計調査から都道府県別の保育士の平均年収をまとめます。
最近は地域関係なく転職をする人が増えています。そのため都道府県別の保育士の平均年収の比較は、そのまま保育士が働きやすい都道府県の指標の一つになります。
都道府県 | 人口 | 平均年収 | 年収順位 | 有効求人倍率 | 倍率順位 |
---|---|---|---|---|---|
北海道 | 0532万人 | 343.0万円 | 21位 | 2.73倍 | 16位 |
青森県 | 0127万人 | 366.6万円 | 09位 | 2.43倍 | 24位 |
岩手県 | 0125万人 | 339.4万円 | 25位 | 1.92倍 | 40位 |
宮城県 | 0232万人 | 315.3万円 | 45位 | 4.38倍 | 05位 |
秋田県 | 0099万人 | 328.6万円 | 38位 | 1.59倍 | 44位 |
山形県 | 0110万人 | 312.4万円 | 47位 | 2.72倍 | 17位 |
福島県 | 0188万人 | 339.4万円 | 26位 | 2.61倍 | 21位 |
茨城県 | 0289万人 | 315.3万円 | 46位 | 3.43倍 | 11位 |
栃木県 | 0195万人 | 354.0万円 | 15位 | 3.16倍 | 14位 |
群馬県 | 0196万人 | 359.5万円 | 12位 | 1.24倍 | 47位 |
埼玉県 | 0731万人 | 352.7万円 | 16位 | 4.76倍 | 02位 |
千葉県 | 0624万人 | 397.2万円 | 03位 | 2.51倍 | 23位 |
東京都※ | 1372万人 | 434.1万円 | 01位 | 6.44倍 | 01位 |
神奈川県※ | 0915万人 | 384.3万円 | 04位 | 3.57倍 | 09位 |
新潟県※ | 0226万人 | 331.4万円 | 36位 | 2.12倍 | 33位 |
富山県※ | 0105万人 | 321.3万円 | 41位 | 2.20倍 | 31位 |
石川県※ | 0114万人 | 367.9万円 | 08位 | 2.07倍 | 38位 |
福井県※ | 0077万人 | 320.7万円 | 42位 | 2.62倍 | 19位 |
山梨県※ | 0823万人 | 341.0万円 | 23位 | 2.43倍 | 25位 |
長野県※ | 0207万人 | 331.9万円 | 34位 | 2.08倍 | 37位 |
岐阜県※ | 0200万人 | 363.9万円 | 11位 | 1.75倍 | 42位 |
静岡県※ | 0367万人 | 332.3万円 | 32位 | 3.46倍 | 10位 |
愛知県※ | 0752万人 | 365.1万円 | 10位 | 2.89倍 | 15位 |
三重県 | 0180万人 | 332.2万円 | 33位 | 2.62倍 | 20位 |
滋賀県 | 0141万人 | 346.9万円 | 18位 | 3.59倍 | 08位 |
京都府 | 0259万人 | 409.8万円 | 02位 | 3.24倍 | 13位 |
大阪府 | 0882万人 | 347.6万円 | 17位 | 4.49倍 | 03位 |
兵庫県 | 0550万人 | 357.5万円 | 13位 | 2.68倍 | 18位 |
奈良県 | 0134万人 | 340.3万円 | 24位 | 2.35倍 | 27位 |
和歌山県 | 0094万人 | 330.2万円 | 37位 | 2.56倍 | 22位 |
鳥取県 | 0056万人 | 318.2万円 | 43位 | 3.77倍 | 06位 |
島根県 | 0068万人 | 328.2万円 | 39位 | 2.10倍 | 35位 |
岡山県 | 0190万人 | 384.3万円 | 05位 | 2.12倍 | 34位 |
広島県 | 0282万人 | 378.8万円 | 06位 | 4.49倍 | 04位 |
山口県 | 0138万人 | 342.1万円 | 22位 | 1.55倍 | 46位 |
徳島県 | 0074万人 | 322.5万円 | 40位 | 3.69倍 | 07位 |
香川県 | 0096万人 | 338.1万円 | 27位 | 1.99倍 | 39位 |
愛媛県 | 0136万人 | 337.0万円 | 28位 | 2.43倍 | 26位 |
高知県 | 0071万人 | 331.6万円 | 35位 | 1.69倍 | 43位 |
福岡県 | 0510万人 | 376.3万円 | 07位 | 2.35倍 | 28位 |
佐賀県 | 0082万人 | 333.2万円 | 30位 | 1.58倍 | 45位 |
長崎県 | 0135万人 | 357.0万円 | 14位 | 1.80倍 | 42位 |
熊本県 | 0176万人 | 343.4万円 | 20位 | 2.18倍 | 32位 |
大分県 | 0115万人 | 335.4万円 | 29位 | 2.28倍 | 30位 |
宮崎県 | 0108万人 | 346.0万円 | 19位 | 2.29倍 | 29位 |
鹿児島県 | 0162万人 | 333.0万円 | 31位 | 2.10倍 | 36位 |
沖縄県 | 0144万人 | 316.1万円 | 44位 | 3.41倍 | 12位 |
都道府県別の平均年収を比較すると、平均年収が一番高い東京都(434.1万円)と一番低い山形県(312.4万円)で120万円以上違います。その差は1.39倍ほどです。
ただ人口が多い都道府県、有効求人倍率が高い都道府県が必ずしも平均年収が高いわけではないこともわかります。そのため、転職しやすい都道府県かつ平均年収が高い都道府県はとても魅力的です。
ちなみに全労働者の平均年収1位は東京で620万円、47位は青森で370万円なので250万円差、1.67倍も違います。つまり、保育士の平均年収の地域格差は全労働者の平均より小さいということです。
なお都道府県の平均年収は毎年変わりますし、順位も変わります。新しい都道府県別の平均年収を知りたい人は以下を参考にしてください。
保育園・幼稚園・こども園・小規模園の平均年収比較
保育園から幼稚園、認定こども園に転職したい人もいますね。そのため、施設別でも平均年収の違いを知っておくと良いでしょう。
令和元年度の内閣府の資料を元に、保育施設別の仕事(保育士、幼稚園教諭、こども園保育教諭、各小規模保育園保育士)の平均年収をまとめました。
勤続年数 | 平均年収 | ||
---|---|---|---|
保育園 保育士 |
私立 | 11.2年 | 3,621,876円 |
公立 | 11.0年 | 3,637,356円 | |
幼稚園 教諭 |
私立 | 7.8年 | 3,449,904円 |
公立 | 11.1年 | 4,540,272円 | |
こども園 保育教諭 |
私立 | 8.2年 | 3,359,448円 |
公立 | 9.9年 | 3,446,172円 | |
小規模保育A型/B型 保育士 |
A型 | 8.1年 | 3,225,060円 |
B型 | 8.8年 | 3,235,404円 | |
小規模保育C型 家庭的保育者 |
C型 | 8.9年 | 3,501,300円 |
令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果<速報値>【修正版】
保育園、幼稚園、認定こども園の中では、公立幼稚園教諭の454万円(勤続年数11.1年)が飛び抜けて年収が高いですね。私立では私立保育園の保育士が362万円(勤続年数11.2年)でもっとも高い年収です。
小規模保育園は大規模な保育施設に比べると年収は低い傾向があります。ただ、小規模保育園は平均勤続年数が短いため、勤続年数が同じなら大きな差は出ないと思います。
一般職(保育士、幼稚園教諭、保育教諭)の比較では保育士の平均年収が一番高いですが、保育業界で長く働きたい人は必ずキャリアアップした役職の平均年収も比べてください。
保育園、幼稚園、認定こども園、小規模保育園の給料詳細を知りたい人は以下を参考にしてください。
保育士が給料を上げるのは難しくない
保育士の給料の見方はさまざまです。公立と私立、年齢別、都道府県別、施設別など角度を変えると、いろいろな平均があることがわかります。
給料アップを目指す保育士が「せめて平均年収は上回りたい!」と思っても、いろんな平均年収を知らないと意味がないんです。給料アップを目指すなら、以下のように考えましょう。
- 私立保育士なら公務員保育士を目指す
- 平均年収が低い都道府県から高い都道府県に移る
- 平均年収が高い保育施設で働く
- 若年層を優遇する保育園に転職する
このようなさまざまな給料の平均を上回る求人を見つけるには、転職エージェントに探してもらうのが一番確実で手っ取り早いです。
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それぞれのサービスの特徴は以下でまとめたので、転職を考えている人は参考にしてください。
どんな仕事でも、対価としてより高い給料を求めることは大切なことです。
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保育士の給料が上がらない理由、具体的に給料を上げる方法を知りたい人は、以下の記事を参考にしてください。