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今健康な人でも病気、ケガ、うつなどで仕事に行けなくなる可能性があります。欠勤が長期になった労働者は労働の義務を果たせないため、会社は解雇できるようになります。
労働者は解雇されると困るので「休職制度」を活用します。保育園に休職制度があれば、保育士も同じように使えます。
いざというときのために休職制度の使い方、休職制度がない場合の対応を知っておきましょう。
保育士20年選手。幼稚園、保育園、こども園、支援センターなど転職して、触れ合った子たちは数え切れず。たくさんのママ・パパの相談にものってきました。代々教育者家庭ということもあり、保育士は天職なのかな。
詳しいプロフィール
保育園の休職制度とは
休職制度とは、労働者が一時的に仕事ができないときに、将来の復職を見越して解雇を一定期間猶予する制度です。もし休職制度を使いたいなら、以下を知っておきましょう。
- 休職制度の利用条件
- 休職制度の利用期間
- 休職期間の給料やお金について
- 休職期間の社会保険料や住民税
休職制度の利用条件
休職制度を設けることは義務じゃないため、制度がない保育園もあります。休職制度の利用条件は保育園毎に違います。休職制度がある場合は、就業規則を確認してください。
休職制度の利用には、正当な理由が必要です。確実なのは病院の診断書ですね。重い病気、ケガ、うつは医師に依頼すれば「○か月の休養が必要」と記載された診断書を書いてもらえます。
休職制度の利用期間
休職制度の利用期間も、保育園が独自で定めています。わたしが勤めた保育園では最長6か月でした(他は不明)。企業主導型保育園だと、1年位の休職制度を設けていることもあります。
ただし休職制度は満期で利用できるわけじゃなく、病院の診断書に基づいて利用することになります。
休職期間の給料やお金について
休職制度期間中に給料が出る保育園はないと思います。つまり、無給休暇扱いになります。ただし、健康保険に加入していれば傷病手当金をもらえるので、その手続きが必要です。
傷病手当金は以下で解説してますが、最長1年半の間、給料の3分の2ほど受給できる補助金のことです。
休職期間の社会保険料や住民税
休職期間中でも社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料)、住民税は支払わなければいけません。
これらは保育園が立て替え払いをしているので保育園に振り込むか、復職後の賃金で相殺することが多いですね。こちらも就業規則に記載されています。
休職制度期間が終わった保育士はどうなる?

- 休職期間の延長を申請する
- 自然退職(自己都合扱い)になる
休職期間の延長を申請する
健康状態が回復しないで休職制度期間が終わりそうなら、延長を申請しましょう。ただし保育園は休職期間延長を認める義務はないため、よっぽどのことがないと延長できないと思ってください。
とくにケガは回復の見込みが立ちやすいですが、心の病気はいつ回復するかわかりません。過度な期待はしないで、延長申請が可能か探ってください。
自然退職(自己都合扱い)になる
休職制度の期間で回復が難しい場合は、自然退職になるケースがほとんどです。自然退職とは、就業規則に記載された条件を満たすことで労働契約が終了して退職になることです。
そして、自然退職は残念ながら自己都合退職扱いになります。そのため、失業保険や国民健康保険の取り扱いが、以下のように不利になります。
自己都合退職 | 会社都合退職 | |
---|---|---|
失業給付金最短支給開始日 | 3か月と7日後 | 7日後 |
失業給付金支給日数 | 90-150日 | 90-330日 |
国民健康保険税 | 通常納付 | 最大2年間の軽減 |
休職制度がない保育園だとどうする?
もし休職制度がない保育園でも、休めないわけではないです。まずは主任や園長に健康状態を説明して、理解を求めてください。そのうえで、休職が認められない場合は以下の対応をしましょう。
- 有給休暇を消化する
- パートなど働き方を変える
- 覚悟を決めて療養に専念する
- 急いで転職活動を始める
有給休暇を消化する
まず、今残っている有給休暇を消化しましょう。年次有給休暇の時効は2年間なので、人によっては20-30日以上有給休暇を取ることができますね。
パートなど働き方を変える
働く日数や時間を減らすことで、今よりも働きやすくなる可能性はあります。ただし、ケガや病気の場合は、パートに変えてもそもそも働けない人が多いと思います。
覚悟を決めて療養に専念する
人生で1番大切なことは、心身の健康です。そのため、働けない状態なら療養を考えてください。
保育園からは解雇(会社都合)……というわけにはいかないと思います。病気で働けないと労働の義務を果たせないため、自己都合退職の話はされるでしょう。
急いで転職活動を始める
今の保育園で働き続けられないなら、転職活動を始めても良いと思います。もし有給が残ってるなら、有給消化をしながら急いで転職活動を始めましょう。
「転職活動を始めても、どうせ次のとこでも働けないんじゃ……?」と考える必要はありません。まずその部分も合わせて、保育士転職サイトに相談すれば良いと思います。
休職制度が使えなければ療養か転職活動をする
転職活動は、自分ひとりでやらないでください。いくつかの保育士転職サイトに登録して、無理のない転職活動を心がけましょう。もちろん、お金は一切かかりません。
保育士転職サイトに登録すれば、条件に合う求人の紹介や園見学・面接の日程調整をしてくれます。また、面接対策や面接の同行をしてくれるところもあるので、安心して転職活動ができます。
保育士転職サイトの選び方は、以下を参考にしてください。
体の病気やケガは突然なので仕方ないですが、心の病気は前兆があります。労働者に有給があるのは、体を休めて心にゆとりを持って仕事に取り組むためです。もし今の状況で心に余裕がないと感じたら、無理をしないで休むことを考えましょう。