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本ページにはプロモーションが含まれます。妊娠は突然やってきます。そのため妊娠したら出産前はいつまで働けるのか、産休や育休はいつからいつまでどのように取ることができるのかは早めに知っておく必要があります。
産休・育休をしっかり取ることは、赤ちゃんにとっても保育園にとっても大切なことですが、
- 産休・育休の休みって何日くらい?いつから取れるの?
- 産休・育休中は給料出ないよね?その間の生活どうしよう……。
- 保育士は育休が取りにくいって聞いたんだけどほんと?
- 園長から産休も育休も勝手に取れないって言われたんだけど……。
このように初めて妊娠した人は、産休・育休についてたくさんの疑問や不安がありますね。「保育士は育休が取れない」という噂も気になります。
そこで今回は産休・育休の休暇日数、産休・育休中にもらえる手当、また産休・育休が取りづらい保育園の対応についてお話します。
保育士、幼稚園教諭、保育教諭歴20年以上。幼稚園、保育園、認定こども園など転職して述べ500人以上の園児を保育し、保護者の相談に答えてきました。両親・祖母が教師・保育士なので、保育士は多分天職です。
詳しいプロフィール
保育士の産休、育休はいつから?休暇の期間はどれくらい?
まず産休と育休がどういう制度なのか、産休と育休の概要から知っておきましょう。
産休(産前産後休業)・育休(育児休業)とは
産休(産前産後休業)とは
産休とは、働く女性が出産前後で取得できる休暇のことです。正式には「産前休業」と「産後休業」を合わせて、産前産後休業と言います。
産休の期間は産前休業が出産予定日を含む6週間(42日)、産後休業が出産日の翌日から8週間(56日)です。多胎妊娠(双子以上)の産前休業は、14週間(98日間)取得できます。
ちなみに出産日が出産予定日より遅れた場合は、遅れた日数分産前休業が増えます。一方、出産日が出産予定日より早まった場合は、早まった日数分産前休業が減ります。
育休(育児休業)とは
育休とは、赤ちゃんの育児をするために取得できる休暇のことです。正式には育児休業と言います。
育休の期間は産休終了日の翌日から子供が1歳の誕生日までです。以下の事情がある場合は子供が1歳から1歳6か月、1歳6か月から2歳まで育休を延長できます。
- 子供の保育所の入所申込みをしているが入所できない場合
- 養育者が病気などやむを得ない事情で、養育が困難な場合
同じ保育士でも公立保育園の保育士は地方公務員なので、子供が3歳の誕生日まで育休を取得できます。
また育休は男性も取得できます。男性が取得できる休暇は、出産予定日の翌日から子供が1歳の誕生日までです。パパママ育休プラスなど変則的な育休のとり方もありますが、ここでは省略します。
産休と育休を取得する条件
産休を取得する条件
産休を取得する条件は特にありません。パート、アルバイトなど働き方は関係なく取得できます。
保育園が保育士の産休申請を断ったり、希望通りの日数を取れなかったり、不利益な扱いを受けた場合は法律違反になります。
保育士に「安易な妊娠をしないように。計画を守らない妊娠には産休を適用しません。」とバカなことを言う保育園もあるようですが……。この話は後ほど。
育休を取得する条件
育休を取得する条件は、1年以上同じ保育園に雇用されていることです。雇用形態は関係ありません。ただし契約社員の場合は、育休終了後も雇用の継続が必要です。
出産手当金と育児休業給付金
産休を取得するとその期間に合わせた「出産手当金」、育休を取得するとその期間に合わせた「育児休業給付金」が支給されます。
産休を取得したときの出産手当金
産休を取得すると、休暇日数と給料に応じた「出産手当金」が支給されます。出産手当金は以下の式で計算します。
- 出産手当金=産休日数×標準報酬日額×2/3
詳細は保育園の税理士や経理担当に聞いてほしいんですが、ざっくり言うと日給の3分の2が出産手当金になります。出産手当金の支給条件は以下の通り。
- 社会保険(健康保険)に加入している人
- 夫の扶養に入っていない人
- 産休中に保育園から給与をもらってない人
育休を取得したときの育児休業給付金
育休を取得すると、休暇日数と給料に応じた「育児休業給付金」が支給されます。育児休業給付金は以下の式で計算します。
- 育児休業給付金額=(180日までの育休日数×賃金日額の67%)+(181日以降の育休日数×賃金日額の50%)
育休180日目までは日給の67%、181日目以降は日給の50%が育児休業給付金になります。育児休業給付金の支給条件は以下の通り。
- 雇用保険に加入している人
- 育児前の2年(24か月)の間で、11日以上働いた月が12か月以上ある人
- 育休期間中に勤務先から給料が支払われる場合、その金額が80%未満である人
- 育休期間中に勤務する場合、1か月の就業日数が10日以下(80時間以下)である人
下3つがちょっとややこしいですが、簡単に言うと育休前に12か月以上働いていて、1か月あたり10日以上働いていればOKです。
保育士は妊娠しても産休・育休が取れない?取りづらい?
保育士は産休も育休も取れます。どんな保育園でも産休・育休を取ることは労働者の権利で、いつまでどのように取るかはあなたの意志次第です。
ただし労働者の権利で産休・育休を取れても、誰がどう思うか人の心までコントロールできません。
- ブラック保育園で妊娠したらどうする?
- 保育士1年目で妊娠したらどうする?
ブラック保育園で妊娠したらどうする?
以下は、「安易な妊娠をしないように。計画を守らない妊娠には産休を適用しません。」と保育園から言われたというツイートの件。
本日女性保育士に園側からの注意
「安易な妊娠をしないように。計画を守らない妊娠には産休を適用しません。必ず相談して下さい」
すごいわ!流石に妊娠の心配の無いわたくしも絶句しましたよ。相談って何?えっちするのにも許可いるのですか?本日、旦那に中出ししてもらいますとか?少子化に拍車!— けめこは保育士を辞めたい (@kemeko85) July 26, 2019
参考【更新あり】女性保育士が保育園から「安易な妊娠をしないように。計画を守らない妊娠には産休を適用しません。」と注意された話 - Togetter
まず、おかしいのは「産休を適用しません」という点。保育園が産休の取得を阻む発言なので明らかに違法です。
次が「計画を守らない妊娠」という点。計画的に妊娠する方法なんてありません。仮に保育園側に計画があるなら、「○月なら妊娠しても構いません」と開示しべきです。
保育士1年目で妊娠したらどうする?
上記を踏まえて、もし保育士1年目で妊娠したとしたら、どう考えれば良いでしょうか。「社会人1年目なのに妊娠するなんて。」と口に出すと明らかに世間からは叩かれます。
ただし、まだ戦力とは言えない1年目の保育士が妊娠してしまう点については、採用コスト、教育コストがかかっている保育園側に同情します。
妊娠が悪いのではありません。保育士1年目が大切な時期だと認識していれば、よほどのことがない限り気をつけることはできたはずです。
妊娠したらどうなるかは大人なら予想できますね。良し悪しはおいといて、周囲から受ける評価は考えておいた方が良いと思います。
産休・育休は誰でも平等に取得できますが、受ける評価は環境や立場で変わります。そのため産休・育休を取れないと感じるのは仕方がないことです。
周囲の雰囲気などを感じて、「退職する」or「産休・育休をとって続ける」を選択しましょう。ちなみに「産休・育休をとって育休明けに退職する」という方法もあります。
おすすめの方法とは言えませんが、園長やその保育園が嫌いで周囲にどう思われても良いという人は覚えておいても良いかもしれません。
育休明けの転職・退職の流れと考え方
今から話すことはわたしの個人的な意見です。すべてを推奨しているわけではないですが、不可能ではないやり方なので「こういう方法もある」程度で認識してください。
- 保育園を辞める決心をして産後の生活を考える
- 保育園から何を言われても産休・育休をとる
- 育休中または育休明けに転職活動を始める
- 育休明けしばらくしたら保育園を退職する
保育園を辞める決心をして産後の生活を考える
ブラック保育園が、何もしないでまともな保育園になることはないです。現場が疲弊したらすべて終わります。そのため経営層がまともじゃないなら、その保育園は辞める前提で行動しましょう。
その上で出産後に違う保育園で働くのか、違う仕事に転職するのか、ある程度育児に専念するのかなど生活の方向性を考えておきましょう。
妊娠をしたら何を言われても産休・育休をとる
妊娠して保育園から「安易な妊娠をしないように。計画を守らない妊娠には産休を適用しません。」など言われても気にしないで、フルで産休・育休をとってください。
産休は労働者に与えられた権利で、従業員に産休を与えるのは使用者の義務です。そのため、産休を制限したり、妨げる発言や行為は労基法65条違反です。保育園は辞める前提なので気にしないでください。
育休中または育休明けに転職活動を始める
出産後に働くつもりなら、育休中or育休明けに転職活動を始めてください。保育士に限らず育休中に転職したり、転職活動をすることは可能です。倫理には反しますが法律違反ではないです。
育休中や育休明けに転職活動をする方法や流れは以下を参考にしてください。あくまでも参考です。
育休明けしばらくしたら保育園を退職する
育休が明けたら保育園に復帰して、しばらくしたら保育園を退職しましょう。転職しない場合も同様で、育休明けに保育園を退職してください。以下の理由があれば、育休後に退職しても問題ありません。
- 復帰してみたけど育児が忙しく、仕事ができない
- 復帰した保育園の雰囲気が悪く、働きづらい
- 出産後に体調を崩して、復帰できる状態じゃない
育休後すぐに退職、または育休明けに復帰しないという対応は強硬手段です。そのためもちろんデメリットはあります。こちらも詳しくは以下を参考にしてください。
妊娠・出産をきっかけに辞める保育士も多い
妊娠・出産が一つの区切りと考えている人は多いと思います。そのため妊娠・出産をきっかけに保育士を辞める人は多いですね。ただ、辞めたくても辞めたいと言えない人もいます。
妊娠・出産関係なく保育園を辞めることに園長の許可は必要ありませんし、就業規則に退職規定があっても、退職の意志を示せば2週間後には退職することができます(民法第627条)。
園長に直接退職の意志を伝えるのが怖いなら退職届を書いて良いですね。退職届の書き方は以下を参考にしてください。
どうしても辞めさせてくれない、退職の意志を伝えた後の2週間が怖いという人は退職代行を検討しましょう。退職代行の詳細は以下で説明しているので参考にしてください。
また、保育園を辞めたい人は辞める前に出産後の身の振り方を考えておきましょう。保育業界以外で転職したい人は、転職する際の流れや注意点をまとめたので以下を参考にしてください。
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産休と育休は労働者の権利なので、ブラック保育園でも申請すれば保育園は法律的に拒否できません。生まれてくる赤ちゃんのため、同僚保育士のためにも遠慮して悪い前例を作らないようにしましょう。