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本ページにはプロモーションが含まれます。「こんなに給料安いとやってけないよ!」と言う保育士は多いですが、その割に求人票で給料などお金周りの見方を知りません。まさか月給だけ見て「給料が安い・高い」を判断してないですよね?
たとえば、「給与」「給料」「月給」「基本給」「手取り」は同じ意味じゃありません。そのため月給だけ比べても、もらえるお金が高いか安いかは判断できません。
- 月給とか基本給とか給料とか同じ意味じゃないの?
- 求人票って待遇とか福利厚生の欄も見た方がいいの?
- 求人票の見方がわかっても、良い悪いを比較できない……。
良い転職をしたいなら、求人票の見方を知るのは基本中の基本です。全然大げさじゃなく、求人票に書いてある言葉の意味を知らないだけで年間何十万円も損をする可能性があります。
この記事を最後まで読めば、保育士の求人票の正しい見方をしっかり理解でき、給料・お金に関する失敗や転職後の後悔を防ぐことができますよ。
保育士、幼稚園教諭、保育教諭歴20年以上。幼稚園、保育園、認定こども園など転職して述べ500人以上の園児を保育し、保護者の相談に答えてきました。両親・祖母が教師・保育士なので、保育士は多分天職です。
詳しいプロフィール
求人票の見方を知らない保育士は多い…
保育士が転職で失敗する原因の1つは、もらえるお金を細かく把握してないことです。1つの数字だけを見て判断してはダメです。
以下は、とある保育士求人票の一部を抜き出したものです。お金に関係する項目、ある程度一般的な項目を抜き出したので、これらについて解説します。
給与 | 月給 | 月給220,000円 ~ 270,000円 |
基本給 | 190,000円~ | |
資格手当 | 5,000円 | |
通勤手当 | 月上限5万円 | |
住宅手当 | あり | |
キャリアアップ補助金 | 15,000円 | |
経験により優遇 | あり | |
賞与 | 2ヶ月分 | |
昇給 | 年1回 | |
退職金制度 | 勤続3年以上 | |
待遇 | 家賃補助制度 | 月82,000~92,000円※規程あり |
引越し費用補助 | 上限10万円 | |
各種お祝い金 | あり | |
ユニフォーム貸与 | あり |
保育士求人票の給与、給料、月給、基本給に関する項目
給料に関して一番基本になるのは給与、月給、給料、手取りの違いです。手取りの意味は知っていても、給与、月給、給料が同じだと思ってる人は多いです。
- 給与|月給+賞与+残業代など、従業員が得るすべての報酬のこと
- 月給|基本給+決まった手当(固定手当)のこと
- 給料|基本給のこと
- 手取り|給与から所得税や保険料を引いて振り込まれる金額のこと
言葉の意味が理解できれば、数字の大きさは「給与>月給>給料(基本給)>手取り」ということがわかりますね。これを踏まえて、保育士の求人票によくある以下の項目を説明します。
- 月給とは
- 基本給とは
- 資格手当・通勤手当・住宅手当とは
- キャリアアップ補助金(処遇改善手当)とは
- 賞与とは
- 昇給とは
- 退職金制度とは
月給とは
月給とは毎月決まってもらえる賃金のことで、「基本給」と「固定手当」を合わせた金額です。求人票で「月給220,000円~270,000円」と幅があるのは、人によって基本給や固定手当が違うからです。
月給に残業代(時間外手当)や営業手当などの「変動手当」を足すと給与になり、給与から所得税や保険料を引くと手取りになります。計算は省きますが、一般的には給与の75-85%前後が手取りです。
月給に対する手取りの割合や保育士の平均手取り額、手取りを増やす方法を知りたい人は以下を参考にしてください。
基本給とは
基本給とは月次の基本賃金のことです。保育士の基本給は年齢、勤続年数、経験年数、保育技術、保育園への貢献度などを考慮して決まります。基本給はボーナスや退職金の算定基準にもなります。
例では基本給が「190,000円~」となっています。一見上限がないように感じますが、月給の上限が270,000円なので基本給にも上限はあります。
資格手当・通勤手当・住宅手当とは
資格手当・通勤手当・住宅手当は、固定手当の一種ですね。固定手当は他にもありますが、よくある代表的なものを紹介します。
資格手当とは
資格手当とは、資格保有者に支払われる手当のことです。1度資格を取って1回のみ手当がつくよりも、月次で手当がつくパターンが多いですね。
ただし例の求人票では何の資格かわからないので、面接などで何の資格を指すのか聞く必要がありますね。職務分野別リーダーなら、5000円でぴったりなんですが。
通勤手当とは
通勤手当とは、交通費に応じた手当のことです。実費ではなく手当(給与)で支給するので、1万円、3万円、5万円などいくつかの段階があるんだと思います。
住宅手当とは
住宅手当とは、居住費用に対する手当のことです。1-3万円ほどが多いと思います。
その他の手当
他にも「扶養手当」「役職手当」などがあります。これらは毎月決まった金額が支給される手当なので、「固定手当」と言い、月給の一部に含まれます。
一方、時間外手当は変動するので「変動手当」と言い月給には含みません。
残業代が、固定手当として月給に組み込まれた「固定残業手当(みなし残業手当)」もあります。固定残業手当は求人票に記載されるはずなので、気をつけて見てください。
キャリアアップ補助金(処遇改善手当)とは
処遇改善手当とは、平成29年度から始まった「保育士等キャリアアップ研修制度」に対する手当のことで、従来の月額2.3万円の補助金に加えて、新たに月額2.1万円を増額しています。
ただ、求人票例で書かれた金額は1.5万円なので、何を示すのか聞いてみないとわかりません。このように求人票をしっかり見ることで、聞かないとわからない質問事項が出てきます。
賞与とは
賞与とはボーナスのこと。例では「2か月分」なので、基本給×2か月分という意味です。基本給が19万円ならボーナスは38万円、基本給が21万円ならボーナスは42万円です。
基本給19万円で賞与が4か月なら76万円、基本給21万円だと84万円なので、8万円も差が出ます。
賞与は「賞与あり」「寸志」「業績連動賞与」などの記載もあります。また、賞与は2年目からということもあります。大きな差が出る部分なので理解しましょう。詳細は以下を参考にしてください。
昇給とは
昇給はどの保育園も年1回だと思います。昇給率は保育園によって違いますが、飛び向けて昇給率が高い保育園はありません。以下の年齢別平均年収を見ると、昇給率はだいたい予想できますね。
退職金制度とは
退職金制度とは、勤続年数や報酬月額などで定めた一時金を退職時に受け取る制度のことです。退職金制度があっても、勤続年数が少ないと支給されないこともあります(例では「勤続3年以上」)。
退職金は基本給で算定します。たとえば退職金制度がある保育園で、20年勤めて自己都合以外で退職すると、目安として400-500万円前後の退職金がもらえます。
退職金制度の基本事項や計算方法など詳細を知りたい人は以下を参考にしてください。
保育士求人票の待遇に関する項目
待遇とは給与と別に従業員に提供される制度やサービス、福利厚生のことです。給与が低くても待遇でカバーできる求人はありますし、その反対もあります。
そのため、待遇を理解することは大切です。たくさんある待遇の中で、保育士求人に多いお金に関わる項目を説明します。
- 家賃補助制度とは
- 引っ越し費用補助とは
- 各種お祝い金とは
- ユニフォーム貸与とは
家賃補助制度とは
事例にある家賃補助制度は「月82,000~92,000円※規程あり」なので、借り上げ社宅制度だと思います。
借り上げ社宅制度とは、入職した保育士に保育園が契約する賃貸物件を貸すことで、8.2万円(東京都)を上限に国が補助金を出す制度です。上京したい人は、以下を参考にして必ず押さえてください。
年間100万円近くもお得になる制度なので、上京して賃貸に住むなら、借り上げ社宅制度がある保育園を選べると圧倒的にメリットがあります。
引っ越し費用補助とは
例の保育園に入ることで引っ越しが必要なら、「上限10万円」まで引っ越し費用補助が受けられます。引っ越し費用補助は、10万円まで実費で保育園が負担するものです。
実費負担は保育士の所得にならないため、税金はかかりません。ちなみに、交通費実費支給となっている場合も所得にはなりません。
各種お祝い金とは
最近、転職が決まったらお祝い金を出す保育園も増えましたね。お祝い金の名目によって、税金がかかるかどうかが変わります。
単純に入社おめでとうの意味で10万円もらったら、雑所得で課税対象です。一方、入職のために引っ越しが必要で、家電購入で10万円まで保育園が負担する場合は所得にはなりません。
ユニフォーム貸与とは
ユニフォーム貸与とは、決まったエプロンや決まったTシャツを保育園が貸してくれることですね。ユニフォーム貸与がない場合は、自分でエプロンなどを用意するということです。
保育士求人票の給与と待遇の3つの判断ポイント
これで、保育士求人票の給与と待遇の大まかな意味、見方はわかりましたね。わかったら、基本給、年収、利用可能制度の3つの判断ポイントをチェックしてください。
- 基本給が高いか安いかを判断する
- 手当も含めて年収で計算する
- 借り上げ社宅など制度分を含めて計算する
基本給が高いか安いかを判断する
基本給は、残業代・賞与・退職金の計算に使うため、基本給が高い求人は最終的な手取りが多くなります。月給が高くても、基本給が安い場合は手当を確認しましょう。
基本給の相場がわからなければ、まず今の自分の基本給を基準として高い・安いを比べてください。また他の求人票も見て、転職したい地域の基本給を理解するようにしましょう。
手当も含めて年収で計算する
基本給がわかれば、金額がわかる手当やボーナスを含めて年収で計算しましょう。ある程度年収が計算できれば、その年収が妥当かどうか比較できます。以下の各種平均年収とも比較してみてください。
借り上げ社宅など助成金を含めて計算する
最後に、待遇に含まれるお金も含めて計算してください。もし年収が300万円でも、借り上げ社宅制度があると年収400万円相当になるかもしれあmせん。
このように1つの求人票にある基本給、年収、利用可能制度を計算すれば、求人を比較したときに金銭面の良し悪しがわかります。
求人票を見てわからない内容はどうする?
保育士の給与や待遇には、他にもたくさんの項目があります。初めは難しく感じますが、求人票を見慣れると給与や待遇が良い保育園がすぐわかるようになります。
たとえ月給が高くても、基本給が安かったり、ボーナスが少なかったり、退職金制度がないと転職後に後悔します。
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